『喧嘩の作法』著者講演会
先日、『喧嘩の作法』の著者・久慈 直登氏の講演会を聴いてきました。
かねてより、法律は“喧嘩の土俵”だと感じてきたので、『喧嘩の作法』という本が出たときは、「おっ?!」とタイトルに吸い寄せられました(笑)。以来、気にはなっていたのですが、今回の講演会聴講を機に、本書を拝読してから赴きました。
久慈氏は、1977年に本田技研工業株式会社に入社以来40年以上に渡り、知財畑でグローバルに腕を鳴らし、現在は日本知的財産協会専務理事。ご著書の書きぶりからは、すごくアグレッシヴな印象を抱いていましたが、とても温厚でジェントルな雰囲気の紳士でした。ただ、穏やかな口調とは裏腹に、厳しいことをピシャリと指摘されるご様子からは、世界の侵害摘発の場数を踏んだ、歴戦の闘士をも感じさせられます。
今回は中小企業支援のためのフォローアップということでしたが、どちらかというと、昨今の知財を取り巻く状況をシビアに概観し、これからの企業の、知財との向き合い方の方向性を示してくださった印象。中小企業といえど、大企業に対しても毅然と主義主張を展開できるようにするには、やはりコアな技術と、相当な勉強が必要ということでしょうか…。少なくとも、「中小企業こそ、経営者自らが知財への理解を深め、マネタイズやマーケティングと絡めて、諸々の事項を“決断”していく糧とする必要がある」というメッセージを受け止めました。
お話の内容のかなりの部分は、本の内容と重複していましたが、
・知財部門はとかく自信喪失しがちなので、知財の重要性を繰り返し説く必要がある
・知財協の会員中、中小の喰い付きがよいのは、特許よりも商標かもしれない
・昨今の、企業の特許調査へのスタンス(★)
・エジソンGOODS蒐集家でもあるヘンリー甲田氏は、フラメンコギター奏者でもあり、久慈氏と友人だった
・ハード&制御系ソフトの技術から、情報系・サービス系ソフトへの収益性の変化
・知財権取得より、当事者契約による権利確保へ
・KnowHowからKnowWhyへ
などなど、本にはなかったトピックや楽しい横道も提示していただきました。
貴重な機会をいただき、どうもありがとうございました!
2月10日には、発明協会主催の「日本の戦後のイノベーション100選」のイベントで、WIPOグリーンの立役者の久慈氏・Cynthia Cannady氏(元Apple VP)・Bertram Huber氏(元Bosch VP)の御三方による鼎談があるそうです。
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