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2017年2月18日 (土)

Patent Vol.70

 今回の特集は「次世代知財システム」。著作物を含む情報の利活用が多様化する中、①適切な柔軟性を確保した権利制限規定の創設、②円滑なライセンスの仕組みの在り方、③報酬請求権付権利制限規定の活用等が検討されているものの、当面はグラデーションをもった取り組みで解決を図っていく状況とのこと。
 私が取り急ぎ拝読したのは、「人工知能が生み出したコンテンツと著作権」と「自動集積される大量データの法的保護」の2つの記事。以下、ざっくりメモ。
●人工知能が生み出したコンテンツと著作権
 ・第0類型コンテンツ:従来の著作物:保護対象
 ・第1類型コンテンツ:AI を道具として用いた著作物:保護対象
 ・第2類型コンテンツ:人間由来でない、指示のみによるAI 創作物:思想又は感情の表現でない
 →第2類型が問題となるところ、インセンティブ論での保護検討の必要性
   →僭称の問題(人間由来であると僭称する)→法改正の必要を検討
●自動集積される大量データの法的保護
 ・著作権法による保護:「情報の選択」又は「体系的な構成」による評価で保護可能の場合あり
  →〔限界〕創作性が評価されなければ保護を受けられない
 ・不正競争防止法による保護:営業秘密の3要件を満たせば保護可能の場合あり
  →〔限界〕漏洩による非公知性の非充足により保護を受けられなくなる
 ・不法行為法による保護:北朝鮮事件判例により不法行為を構成すれば保護可能の場合あり
   「著作権法6条各号所定の著作物に該当しない著作物の利用行為は、
    同法が規律の対象とする著作物の利用による利益とは異なる
    法的に保護された利益を侵害するなどの特段の事情がない限り、
    不法行為を構成するものではないと解するのが相当」
  →〔限界〕近時の裁判例では限定的であり、差止不可で損害賠償請求のみ
 ・契約法による保護:契約自由の原則により保護される場合あり
  →〔限界〕当事者以外の第三者には直接効果は及ばない
 …→「保護の必要性」「保護の許容性」「諸外国における議論」の3つを念頭に立法検討すべし

で、上記の北朝鮮事件判例に触れて、ふと思い出したのが、最近話題になった「STAP細胞騒動にまつわるES細胞混入を匂わせたNHKスペシャル」の件と、「センテンス・スプリング(笑)によるLINEの内容暴露」の件。前者では、非公開のはずの実験ノートや二者間のメールの内容が、本人の同意なく公開され、後者では、同じく二者間のLINEでの会話が、本人の同意なく公開されたわけですが……。実験ノートや挨拶文程度では著作物と認められにくいとか、芸能人にはプライバシーはないとか、事情はあるでしょうが、こういうモノが本人の同意なく容易に公開されてしまうのって、いかがなものだろう?と思います。裁判をしてもお金と時間を浪費するだけ…という判断で、あまり問題にならないのかもしれませんが、「公開されるのがフツー」になってしまうのは、ちょっと気持ち悪いな…と感じたので、備忘メモ(苦笑)。
 
 

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