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2017年5月22日 (月)

Patent 特集 Vol.70 2017.5

 先日、『Patent 特集 Vol.70』の第22回知的財産権誌上研究発表会の冊子が届きました。
 今回、真っ先に目についたのは、「オープンアクセス時代における学術論文の著作権管理に関する一考察」という記事。なぜなら、これまで、以下のようなことをツラツラと考えていたためです。

論文の著作権と電子出版考…
Archive Summit 2016
・イギリスのEU離脱による知財への影響
論文のオープンアクセス化と出版社と書店と

 ちょうど、この4月15日に、「デジタルアーカイブ学会」も設立され、データの保存と公開はますます大事になる時代でもあり。。。
 本文中、「一般的にわが国の理系学会は、投稿規定に設けられた著作権の帰属に関する規定により、投稿論文の採録の際、著作権譲渡契約を当該学会と締結し、著作権を学会に譲渡し、著作者人格権の不行使特約を締結することが多い」(p.66,右段)、「学会誌の著作権の取扱いは区々であり、ユーザには著作権の所在が不明瞭となる」(p.69,右段)とあるものの、「IR(機関リポジトリ)に著作者(研究者)が登録するためには、著作権を著作者が有していることが原則であるが、著作権譲渡をしている場合であっても、大学等の研究機関が発信することは許諾していることは多い」(p.68,右段)とのことなので、媒体ごとの区々の条件に、あまりシビアにならなくてもよいのか?…と、本記事からは読めました。
 データとしては、「2005年の調査では、理学、工学、医学・薬学、農学分野の学会論文の投稿規定の199誌のうち98%の学会が著作権の帰属に関する規定がある。しかし、著作権が著作者にある学会は2誌、97%が学会に著作権譲渡をする。」(p.66,右段)とのこと。

 ただ、上記のような認識や意識が、理系の研究者にどのくらい浸透して、著作権について安心安全のもとでオープンアクセスの手続きを進めているのかは不明です。学術論文のオープンアクセスの流れと、アイディアの特許化の流れは、文化の発展と産業の発展という視点の違いこそあれ、結局のところ、論文は読まれなければあまり意味がないし、発明も利用されなければあまり意味がない(又はひたすら特許数を稼いで外堀を掘るか…)、という点で、利活用を促進することがネックだと感じました。
 ちなみに、『月刊パテント』に掲載された論文の著作権は、著作者に帰属するそうです。参考URLとして提示されていた箇所に明確な規約は見つかりませんでしたが本論文にはそのように書いてあります。また、公衆送信権の許諾も受けており、公刊後一定期間の後、ウェブ公開によりオープンアクセス対応にもなっているそうです。

 一方、「知財コンサルティングの観点からみた弁理士に求められる能力」という記事については、私自身が、著者の言う“本業低キャリア弁理士”であるため、諸々耳が痛かったのと、会費の使われ方や利益相反の懸念等、尤もなご指摘が多々あり、広く会員全般の意見を伺ってみたくもなりました。

20170522 それにしても、暑い…

 

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