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2017年8月 9日 (水)

『九十歳。何がめでたい』

20170807_6  一昨日、佐藤愛子さんの『九十歳。何がめでたい』を速読。去年の8月刊行の本ですが、今年の6月で18刷になっていました。多くの人の口の端にのぼり、共感が広がっているのかもしれません。それにしても、1200円を2~3時間で読んでしまうのは、ちょっともったいなかったなぁ~
 まず、何はさておき、90歳を過ぎても、文章を書く仕事ができる佐藤さんの幸せを想像するだけで、何ともうらやましくて、そんな老後をウットリと想像してしまいました。内容は、まるで実家の母の主観満載の言い草を聴いているようでしたが、だからこそ親密感も説得力もあって、どれも正論に感じてしまうのでした。
 題材の多くを、新聞に掲載された「人生相談」から拾い、“私ならこう考える”と斬ってくれていますが、そういう頭の体操もアリだなぁ~と、私も老後の楽しみが1つ増えました(笑)。
 読み始める前は、老後の生活がどんなに滑稽で悲惨で、周囲を巻き込んで苦労しているか…という話に終始するのだと想像していたのですが、とんでもない! 介護者の参考になるような話は、何一つありませんでした!! 同居する娘さん一家とすら一定の距離を置き、週2回のヘルパーさん頼みで自律して生活しているご様子には、ただただ「アッパレ!」と叫ぶしかありません。
 先日亡くなった日野原先生を、NHKのクローズアップ現代が特集していた際、晩年お世話をしていたのが、“次男嫁”として紹介されており、ショックを覚えた自分が蘇りました。あの超人のような日野原先生ですら、最期の日々は誰かの手を借りざるを得ない……当然と言えば当然なのに、妙にガックリ来てしまったのです。佐藤さんには、そんな気配すらなく、どうしたらそのようにいられるのか、生活リズムとか食生活とか通院状況とか、そういった諸々を伺ってみたい気持ちでいっぱいです。
 1923年生まれの佐藤さんは、あと6年で百寿。どうかどうか、その時にまた、『百歳。何とめでたい』を拝読させていただきたいです!

【進歩とは?】 知財人視点で印象的だったのは、本書の随所に、「進歩とは何ぞや?」という疑問が散りばめられていたこと。ここ90年の技術進歩を目の当たりにしてきた人だからこその感慨でもあるのでしょうが、目新しくさえあれば進歩なのか?という佐藤さんの疑念からは、(まぁスマホとかトイレの進歩はともかく)“進歩性”ってもっと多面的に見ないといけないのかも…と思わされました。。。

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