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2017年8月 7日 (月)

改訂商標審査基準2017

 先週、直近の商標審査基準改訂の説明会に参加しました。講師は、特許庁の審査基準室に設置された検討ワーキンググループの一員だった方で、10年近く諸々の改訂検討に寄与されたそうです。まだ、積み残しとして、「公共財産(歴史的・文化的・伝統的価値のある)標章についての取り扱い」や、「大量出願人に対する対応策」等の検討が続いているようですが、何かと変化の激しい昨今、法律改正では現実に即応しきれない部分を、なんとかケアしていこうという姿勢を感じました。3条・4条関係の主な改訂を、以下にメモ。

〔3条〕
・不使用商標対策の機能の強化と明確化
 (資格のない者による出願の排除、類似群コードのカウント方法明確化:便覧41.100.03
・位置商標、立体商標における柱書違反事例の明確化
・1項3号における「書籍の題号」「歌手名」「商品の一部を位置商標や立体商標として出願した場合」の取り扱い明確化
・1項6号における「総論規定」「地模様の範囲」「キャッチフレーズの範囲」の記載と明確化
・2項における「使用商標との一致具合をゆるやかにした」「識別力判断方法を明記」

〔4条〕
・1項7号における「近時の裁判例を基に類型化」「剽窃的な出願の該当化」
 (要:便覧チェック
・1項11号における、現実への親和性アップ
 (i)商標の類比を誤認混同のおそれの有無の観点から判断
 (ii)審査においては個別具体的な取引実情は考慮しない
 (iii)結合商標の要部抽出判断の容易化(cf.リラ宝塚事件)
 (iv)「取引実情説明書」の大幅改訂
  ①類似群コードによる類否推定が審査でも覆る場合を認めた
  ②親子会社が引用商標権者の場合の不適用
 (v)引用商標の存続期間満了後の回復期間を待たずに消滅判断
・1項14号においては、種苗法の趣旨を踏まえた判断へ
 (本号非該当でも、3条1項各号に該当し得ることが明文化された)
・「商標法制定の趣旨に反する」→「商標法3条の趣旨に反する
 ※精神拒絶の範囲が狭くなった ↓

    (本願の指定商品役務)   (引例の指定商品役務)
      A,B,C           A,B,C         → 精神拒絶
      A,B             B             →拒絶なし
      A               A,B           →精神拒絶
      A,B             B,C           →拒絶なし
      A               a              →拒絶なし
      a               A              →拒絶なし
       (a:「Tシャツ」、A:「被服」では、拒絶なし。概念的検討はせず、あくまで“表示レベル”で判断)

【DBでの予見可能性確保】 123先生のブログによると、年末年始にJ-Plat PatのDB機能強化が図られるのだとか。上記講師が「ユーザーの予見可能性を高めるため」と改訂理由について言及されていましたが、その先鋒となるべきは、公開情報と審決情報のDBの充実度アップに間違いないですね!(民間情報サービス会社への配慮はともかくとして…)

 

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