『発明者をプロデュース』
先日、先輩からご紹介いただいた本を一気読み。
仕事柄、知財関連の書籍もそれなりに読んでいるつもりですが、本書は、「発明好きの子どもを増やしたい」という思いから編まれている点、著者ご自身の初心に忠実に、純粋な思いを土台に書かれている点で、従来の知財本とは毛色の違う、とても心温まる本でした(弁理士の岩永先生 著)。
「私はこの「学校への出張授業」が好きです」(p.224)」と明記されているとおり、子どもたちが創意工夫することを習慣づけることが、著者先生の最大の喜びなのだと思います。本書の帯の表2(表紙裏)部分に、「地救発明プロジェクト メンバーズカード」というものが印刷されており、上梓をきっかけに、“発明で、地球環境や生活の中に横たわる諸問題を解決していこう”という有志の子どもや仲間をどんどん増やし、2039年には全世界からそのメンバーを集め、刊行当時よりも世界が良くなっていることを祝う祝賀会を開くのが夢なのだとか! 本書を読んだ人は即、メンバーになれるそうなので、私もすでに立派な“地救発明プロジェクト メンバー”です(笑)。
お恥ずかしい話、近頃は、受験勉強に一向に熱を入れない息子に業を煮やすばかりで、息子のいい所を探そうとしていない自分がいたのですが、本書第2章の「お子さんが発明好きになる“親のあり方”」という部分を読んで、「今はまだきっと、勉強する必要性を実感していないだけで、本当に知りたいことや、解決しなければならない問題に遭遇すれば、自然と勉強するだろう…」と思えるようになりました(苦笑)。
本書は、上記のようなマインドセットを向上させるための啓発部分と、発明の生み出し方や権利化までの手続きといった現実的ノウハウ部分が混在しているため、2冊の本を読んだようなお得感があります。個人的に、子どもの教育に関しては、佐々木かをりさん等が強調されるような、タイムマネジメント能力の獲得が大事なんじゃないかと思っていますが、本書を読んで、問題解決能力の獲得と併せて二本柱かもしれない、と思うようになりました。いずれにせよ、教育は一本道でなく、一筋縄ではいかない上、とても時間がかかるものであることだけは、確かですね。
私の精神状態が最悪な折りに、タイムリーに本書をご紹介くださった先生に感謝します。
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