“ソローの封筒”
先週の先使用権に関する講義で、ドイツやフランスの“先所有権”という概念について聴いた中に、フランスの、いわゆる“ソローの封筒”というものの紹介がありました。日本での“タイムスタンプ”のようなものですが、「このペーパーレス時代に、フランスの特許庁って広いんだなぁ…」と、マヌケな感想を抱くとともに、サードパーティーのソフトウェアに依存するタイムスタンプより、割符のようで直観的でわかりやすいし、発明に限らず、意匠や著作物にも使えるし、後発の創作や出願時点で実施や準備をしていなくても権利を主張できるという所に、とても魅力を感じました(日本の特許庁へのかなりの手続きが電子化されているから、紙でのこのような手法が単純に感じるのかもしれませんが、弁護士さんにとっては当たり前のことに思えるのでしょうか…?)。
とはいえ、法的拘束力があるわけではなく、あくまで証拠の1つとして使えるだけだし、内容吟味は厳格なようなので、使い勝手の程はわかりません。
少し前の講義での“属地主義”の話にせよ、今回の“先使用権”の話にせよ、あまりに当たり前のこととして受けとめていた概念が、世界的に見たり、本来的な視点で見直すと、全然当たり前じゃない、という事実に、驚きを隠せません。大学院に入れていただいて何よりの収穫は、“フレームワークの瓦解”といった感触でしょうか(苦笑)。でも、頭が混乱して生きづらくなりそう~!
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