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2018年4月27日 (金)

芳香性液体漂白剤組成物事件

20180426 (昨朝は久々にいつものコースを歩きました~♪)

 先週の講義中、「芳香性液体漂白剤組成物事件」というものの事案紹介がありました。化学系の事案を検討したことなどなかったので、新鮮でした。被告製品が、製造当初は特許の構成要件を充足しなかったにもかかわらず、経時的に変質し、需要者の手に届く頃にはすべての構成要件を充足するように変化してしまう、というケースの検討。いつの時点で充足性を見るべきか、という論点は、機械分野ではほとんどお目にかからないと思われ。
 裁判の結果は侵害と認定されたそうで、結論には納得しつつも、こういう時間的に変質する製品の場合、製造時の間接侵害と捉えるのか、(勝手な造語で“前駆侵害”とか)、販売時の文言侵害と捉えるのか、ちょっと“侵害の経時変化”の捉え方がスッキリしませんでした(笑)。

 産業財産権法以外にも、カリキュラムの中には「独占禁止法」や「国際知的財産法」も組み込まれており、今後のビッグデータの取り扱いや、軽々と国境を越える企業活動の国際化との関係からは、これらがとても重要だということはわかるのですが、法学部出身でない身としては、そもそもの法律を学ぶ作法みたいなものや、それ以前の用語がまったく身についておらず、方法論がわからなくて自己嫌悪に陥る場面が多々あります。
 そんな不甲斐無さを夫に愚痴ったら、「そもそもマスター1年なんて、先生はヒヨっ子としか見てないから大丈夫だよ」と言いました(苦笑)。それはそうでしょうが、学生さんは皆、社会人経験を積んできた人ばかりなので、ただヒヨっ子然としているわけにもいかず、ゼロベースの学習は本当に厳しいです
(注意すべきは、とかく学問的になりがちな内容を、いかに現実の問題解決場面とリンクさせて考えられるか、という所だとも感じます)

【海賊版サイト対策】 問題解決といえば、、、インターネット上のアニメやマンガの海賊版サイト対策につき、ブロッキングの賛否について様々な団体が声明を出しています。弁理士会からも。。。
 サイト閲覧する人の立場で考えて、海賊版に引き寄せられる原因は…。
1.タダであること
2.出版社・製作者の垣根なく、作品が1か所に集まっていること
3.アップのタイミングが速いこと
4.スマホやPCで読めて、嵩張らないこと
5.(面倒な会員登録不要?)
6.品質はそこそこ

 こう考えると、「タダ」で読ませても収益が上がる、という点がネックで、出版社でも「タダ」以外のことは、技術的にはできないことはなく…(?)。本の中には、「タダでもいいから多くの人に読んで欲しい!」というものもありますが、そういうのに限って読まれることはなく、海賊版の餌食になるのはたいてい、大黒柱的作品。だからこそ、ブロッキングのような禁じ手にも頼りたくなってしまうわけで。。。私が当面できることといえば、知財教育で出掛けた先の学校で、“ものづくり”の苦労を知ってもらい、作者の苦労には対価で報いるという“愛”に納得してもらうことくらいでしょうか…(まぁ、このブログの引用や映り込みも、相当グレーだと思うので、全然偉そうなことは言えないのですが、、、苦笑)。

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