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2018年6月13日 (水)

審決取消訴訟の位置づけ

 先週、産業財産権法での審決取消訴訟についての議論がありました。奇しくも、独禁法の調査手続の法改正で、3年前くらいから審判がなくなったということを知ったばかりのタイミング…!
 ずいぶん以前から、私の中での審決取消訴訟は、何か得体の知れない位置づけでした。行政訴訟なのに、(査定系を除けば)まるで民事訴訟のような当事者対立で、もしも自分が当事者だったら、誰と何を争っているのか、よくわからなくなってしまいそうだったからです。

 まだ、法律をかじり始めたばかりの6年半ほど前は、暢気にこんな記事をブログにアップしていました。。。
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【審決取消訴訟での証拠追加に関して】
・最判S51.3.10「メリヤス編機事件」:新証拠不可
  →すごいぞサトー、メリヤス編機
・最判S55.1.24「食品包装容器事件」:補強証拠可
  →カレーはココいち、日清食品
(このセットもインパクトあるけれど、「生ごみ処理装置」と「ブラジャー」のセットは忘れたくても忘れられない)
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 これらの延長として、「高速旋回式バレル研磨法事件」の最高裁判決と、それをより難解にしたケース・スタディの課題。。。直接証拠と間接証拠の採用の可否や、拘束力の範囲など、司法のフローの根本的な問題に思えますが、専門の方々の中でさえ議論が続いている模様。そもそも、メリヤス編機の制限を考えた時、(当事者間だけの一事不再理効も併せ)「特許って結局、あまり公的なものとは捉えられてないってことかな…?」という疑問を抱えていたのですが、それ以外にも、いろんな問題が山積しているようです。
(以下は単なる個人的感想です)
 これまでの私は、議論がし尽くされるまでは、少なくともメリヤス編機判例の許す射程内で、議論は深める必要があると思ってきました。ですが今回いろんな人の意見を聴いて、あまりに節操のない蒸し返しは、訴訟経済上好ましくないし、おそらく当事者にとっても実は負担が大きい(大企業のように裁判に時間やお金をかけられる者ばかりではないという差異)、、、と考えると、的確な判断のもとで極力早い段階で審理をし尽くす努力をすべき(上級審であればあるほど、結論に踏み込んでいくべき)だと思うようになりました。保護期間の恣意的な引き延ばし作戦のためだけの蒸し返しなどは言語道断だし、万人が首肯する結論なんてありえないと思えば、限られた時間内に最善を尽くすのが争訟の理想的な形だと感じます。(喩えは不適切かもしれませんが、法廷はある種、ボクシングのリングみたいなものだから、限られた枠組みの中で、3回ダウンしたらKOですよね(WBA仕様))。
 知人が、土地の境界線(筆界)を巡って、5年間近くも争い続けていましたが、結局納得感のある結論には至らずについ最近終局を迎えたようなのですが、土地だって実のところは誰のものでもない地球の大地(パブリック・ドメイン)だったわけで、筆界はある時代の誰かが恣意的に決めただけだと考えると、この種の財産権の争いって、実は一過性のものかもしれません(まぁ当事者には切実なんだけれど…)。
 依然として、準司法的手続きとしての審判と、第一審に携わる特許庁審判官の専門的知見の位置づけについては悶々としてしまうのですが、、、
 ともあれ、6年半前の自分より、ちょっとは視野が広がってるかも、と思えた受講でした

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