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2018年7月18日 (水)

ゲノム編集と公序良俗

 先週の比較法の講義での自由発表で、あるチームがゲノム編集技術の特許審査に関する国際比較について話してくれました。
 CRISPR-Cas9というものが、各国特許庁でどのように取り扱われているかを、主にEU、US、JPで比較。よりヒトに近いフェーズでのゲノム編集については、未だ専門家の間でさえ倫理的な線引きが議論の渦中ではないかと思うのですが、EUやJPの特許庁がこれを“公序良俗”違反で拒絶理由を出すことに、発表者2人の間でも意見が分かれていたのが興味深かったです。
 一人の方は、「光るネズミなんかが、夏祭りの屋台で売られるようになったりしたら、生態系が大変なことになる」と冗談を飛ばしつつ、いろいろな法律で重畳的に規制すべきと考えておられました。他方の方は、たとえ特許法で拒絶したからといって、技術が確立したからには実施はできるわけで、この拒絶の意味がないのでは?と考えておられるようでした。
 先日DYIバイオの加速ぶりに驚愕していたこともあり、家で夫ともこれについて話しました。夫は、無制限に実施を許すより、誰かが独占した方がむしろ目が行き届いて、管理はしやすいのでは?と言いました。私としては、論文で発表される以上、もはや特許明細書の公開による効果を云々するのはあまり意味がないだろうと思いつつ、こういう技術を一社が独占して利益を得ることに対して、解決課題が難病克服のような医療分野であれば人道上微妙だな、と感じます。一方、“光らせる”とか“農薬耐性を付ける”とか、産業上の利用であれば、一定期間なら構わないのかな、、、とも思い。。。とはいえ、ここまで遺伝子を自由に切り貼りできるようになると、それこそキメラ作り放題、人体改造し放題、、、と、自然の摂理という観点で、憲法とか条約上の検討課題になりそうで、、、。
 しばらくペンディングになっている“なんちゃってリケ女会”の時、生物系サイエンスライターの友人にも、考えを訊いてみたいと思います。

【知財の正義】 同期の方が目下読書中らしき、『知財の正義』という本も、時間があれば読んでみたい!(cf.)

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