『マチネの終わりに』
夏の終わりに、精神の浄化になるような文章に触れておきたくて、平野啓一郎さんの『マチネの終わりに』を読みました。ここ数か月、実用本や学術書ばかり読んで、感情を揺さぶるような活字に触れていなかったことを痛感しました。
(以下、本作の読書を楽しみにしている方は読まないことをお勧めします)
全編がひとつのオペラの曲のように、緩急をつけながら終局に向かうような印象でした。アダージョな出逢いと会話で始まり、アレグロで親密さを増し、グラーヴェな陰鬱と思索と偽り、アンダンテな快復と日常、レントな復活…そして再びのアレグロ…独断と偏見の解釈ですが、すべてが「マチネの終わり」の一曲のためにあるような物語でした。
印象的な言葉やセリフの数々が胸に迫り、“恋と愛の変容”を滋味深く考えさせてくれますが、私が気に入ったのは、ベートーベンの日記にあったという「夕べにすべてを見とどけること」という謎めいた一文と、“未来は常に過去を変えてる”という言葉。
率直な感想としては、「運命の人に出逢ってしまうと、美しくも大変…」という思いと、ラストシーンには「えっ?! 逢っちゃうの?!」という脊髄反射(苦笑)。それでも、終盤の思い出の曲の演奏シーンは、溢れて来る涙で活字が滲みました…。
人生はままならず、誤解やすれ違いに溢れているかもしれないけれど、真摯な思いはきっと、時空を超えて伝播するんじゃなかろうか…と思えた読書でした。――「幸福の硬貨」を聴きながら…
(タイアップCD,買っちゃおうかな…)
【大坂なおみさん!】 全米オープン決勝進出、おめでとうございます!! なおみ語録でも、精神がとっても浄化されます~。→なんとその後、セリーナ・ウイリアムズを抑えて優勝!! おめでとうございます!! 「ガラスの仮面」が好きで、“紫”という日本語が好きだという逸話も微笑ましかったです(笑)。
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