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2018年10月21日 (日)

「国際社会における日本の著作権法」

 講義のコマ数が減ったのをいいことに、後期は予習復習は相当いい加減に、ただただ興味本位に読みたいものを読んでいる困った学生ですが――
 先週、「国際社会における日本の著作権法」という講演録を拝読。これが、すごく刺激的で面白かった~! ワンテーマについて語るというより、様々な論点を内包しながら、世界の中での日本の著作権法のプレゼンスを考えるような構成になっており、さらに法学だけにとどまらず、文化比較・性向比較のような観点でも語られているのがまた興味深かったです。著作権法に興味がある方には、是非ご一読いただきたいと思います
 以下、分量的にちゃんとした“引用”であると信じて、一部抜粋してご紹介。上野先生が、ご自身の英語論文を、ドイツの図書館サービスを利用して、メール送信依頼したときのことを振り返って……(「コピライト」2012.5、24頁右段)。

――私はドイツの図書館サービスに自分の論文のメール送信を依頼しましたので、そのとき支払った著作権料4ユーロが自分に戻ってくるのかどうか、ちょっと気になるところです。ただ、あの書籍について、私はもともとオランダの会社である出版社と著作権を譲渡する契約をした記憶がありますので、そうだとすると私自身は何も言う権利がないかも知れない、とか、この図書館サービスはドイツ国内における利用なのだからドイツの著作権が問題になるところ、ドイツ法の下では著作権が譲渡できず、権利制限に伴う報酬もあくまで著作者に支払われるはずなので、やはり私に報酬を受ける権利はあることになるのか、など、ややこしい話になってまいります。
 そして、徴収した報酬を正確かつ厳密に分配するということになりますと、極端な話、世界中の著作者等に送金する必要があります。もちろん管理団体間で処理できるところもあるでしょうが、例えば私のように団体に入っていない著作者もいるわけです。――

……この部分だけを読んでも、各国の権利制限規定の問題、補償金請求権の問題、学術論文出版者への著作権譲渡の問題、抵触法の問題、権利帰属の問題、報酬分配の問題、著作権管理団体への信託の問題、順法とコストの問題、実務の問題、と、実に様々な問題が絡み合って、どこからどう考えていったらいいのやら、現実世界の複雑さにモヤモヤが止まりません(苦笑)。あ~、ラテン系のメンタリティになるか、ゴチゴチの合理主義者になりた~い!と、“美しい日本の私”は切実に思ってしまうのでした。。。
(それにつけても、AIの機械学習を概観するに、西欧の演繹的な世界観より、日本の帰納的な世界観に近い気がして、そこから生まれる“あいまいな”アウトプットは、多分に東洋的なものかも…と思ったりもしたのでした)

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