EU競争法と著作権指令改正案
先日、EUの競争法に関してちょっと耳学問。
そもそもEUが出来たのは、長きにわたる戦争の歴史に嫌気が差し、ヨーロッパ諸国の平和と安定の夢を実現する第一歩として、ということだと思います。人々が自由に行き来し、商品の流通障壁もなくすためには、厳格な条約が必要なわけですが、競争法というのはどこの国にもあるもので、日本なら独占禁止法、アメリカなら反トラスト法といった法律で、ある市場において公正で自由な競争が維持されることが、一般市民・消費者・公共の利益につながる、という理念のもとで定められています。そして、ひとたびそうした競争が損なわれるような事態が起きた場合、通常はその名宛人は事業者になるものですが、EU競争法の場合には、事業者だけでなく国も名宛人になりうるとのこと!
これを聴いたとき、とかく政策的判断が規定ぶりに影響する知的財産法を思えば、EUが存続していることがちょっと奇跡に感じられてしまいました💧。また、グローバル化が進みながらも、どんどんローカライズされているような気もする昨今の諸々の動きを考えても、理想の希求と、人間の活動範囲の矮小さとが、どことなくギクシャクと軋みながら綱引きでもしているかのようにも感じてしまうのでした。それは、天下国家を論じるような余裕と、日々の暮らしに汲々とする困窮のように、異次元の表れのぶつかり合いのようでもあり――。
…と、抽象的なことを考えても仕方ないけれど、イギリスがEUを離脱するかもしれない世界は、少なくとも平和の理想からは、一歩後退すると考えるべきなんでしょうか。。。
【EU著作権指令改正案】どうも、EU著作権指令改正案がEU議会で承認された模様。上記の抽象的な類似性という意味では、ネットの自由と規制、独禁法と特許法、、、なんていうのが芋づる式に浮かんできます。。。
| 固定リンク
「学問・資格」カテゴリの記事
- 「AI時代の創作と著作者人格権」(2023.11.05)
- 「メタバースにおける著作権」(2023.10.07)
- 知財実務連続講演会(第1回)(2023.09.30)
- Patent Vol.76(2023.07.31)
コメント