「個人情報が世界を変える ~データ社会の光と影~」
先日、実家で録画しておいてもらったNHK BSドキュメンタリー「個人情報が世界を変える ~データ社会の光と影~」を視聴。
これ、BSでなく、是非とも総合テレビで放送して欲しいものです。
CESのレポートに始まり、変貌したAdobeのターゲティング広告業務の模様、世界各国でのGAFAの活動や収益状況、先のアメリカ大統領選でのネガティブ・キャンペーンの舞台裏など、背筋も凍るワクワクゾクゾク感……。バノン氏が設立した政治コンサルタント会社“ケンブリッジ・アナリティカ”が、Facebookに仕込んだ性格分析アプリから、8700万人分もの個人情報を取得して心理操作していたという告発からは、データ活用の影の部分が如実に浮き彫りにされていました。デビット・キャロルさんという方が、自身もその被害者であることに気づき、根気強く調査を続けているとのことで、是非全貌が知りたいものだと思いました。
一方、面白かったのは、スタンフォード大のマイケル・コシンスキー氏の振り切れた発言。「プライバシーなんてもはやない! データを与えるのは税金を払うようなもの」と言っておられたのが、一部私の感覚と通ずるものがあり、ポストプライバシー時代に思いを馳せました。ネットワークで繋がっている以上、すべては見ようと思えば見えてしまうわけで、プライバシーだの通信の秘密だの言っても、それはネットワークの利便性を縛るものにしかなりえず、むしろすべて赤裸々にしてしまえば、性善説に立てば、これほど公明正大なシステムもなかろうに…と、時々思ってしまうわけです。が、性善説はとかく、闇のチカラによって悪用されるのも常。世界中の人が“イイ人”だけなら、コシンスキー氏の考えを強く支持するのですが、、、。
精力的に取材してくださったSUPTNIKO!さんは、上記の他にも、世界各国を飛び回り、ドイツのCryptPartyに参加したり、GDPRの立役者の女性議員(ビルギッド・チッペル氏)にインタビューしたり、ライプツィヒのカオス・コミュニケーション会議をレポートしたり、バノン氏の次なる会社「The movement」を訪問して今月のEU議会選挙への影響を展望したり、ベルリンの武邑光裕さんと対話したりと、刺激的な番組構成が圧巻でした。
確固とした自己が確立し、どんな情報にも中立でいられる体幹の鍛えられた人格の人にとっては、データ駆動社会は便利で快適なところなのでしょうが、弱く優柔不断で他人に左右されやすい人にとっては、データを駆使して繰り広げられる様々なキャンペーンに、いたずらに翻弄される世界になっていくのかもしれません。
まぁ、いつの世でも大切なのは、「自分の頭で考える」ってことだとは思うのですが、最近は、自分の頭がどこにあるのかが、よくわからなくなってきてるんだよなぁ…(汗)。
【日本の状況】 についてはコチラ。
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