How to Build a Data Ecosystem
先日、表題のタイトルのカンファレンスに参加しました。まるまる一日のプログラムでしたが、レッシグ先生の基調講演や、村井純先生・伊藤穣一氏との鼎談など、もう垂涎の内容。写真の撮影やWebへのアップもOKとのことでしたので、遠慮なくアップ(笑)。
何せ私は、村井先生をはじめとする方々のインターネットに関する尽力がもうちょっと遅かったら転職なんてしなかったろうし、レッシグ先生の本を読まなかったら、法律について考えることもなく、安穏と本作りしていたに違いなく――。初心に帰るつもりで(『情報社会と共同規制』という書籍の概要を予習して)聴講。
携えた関心事は以下。
・レッシグ先生は、現状のインターネット世界の状況をどう思っておられるのか?
・IPv6により個々人の透明なアドレス環境を実現することはできるか?(できるならユーザーへの説明の要否は?)
・社会主義の統治者の良心と勤勉、ネット世界のドミナントの良心と勤勉、これらは幻想か?(幻想でないなら、競争法の意義は?)
・競争することは、どんな状況においても有益なのか?(人間はそんなに怠惰なのか?)
・各種SNSやPFのアルゴリズムは、営業秘密扱いでいいのか?(データポータビリティより先にアルゴリズム公開義務化では?)
基調講演のタイトルは、「監視社会の考察 ~人々は抵抗できるか、したいのか?~」。。。程度問題とはいえ、レッシグ先生ご自身はどう思っておられるのか、興味津々で拝聴しました。Privacyの取り扱いに関し、年齢よりずっとエネルギッシュな語り口で、userとsocietyに対してbenefitがあるかharmがあるか、という視点で現代のネット事象のアレコレを4象限に分類した先生。双方に良い、または双方に悪い、という象限のコントロールの検討は易しいけれど、一方には良くても一方には悪い、という象限のコントロールの検討が難しい。。。一昔前のコピーライトに関する議論と、現在のPrivacyや監視社会に関する議論が相似しているようで。コピーライトの取り扱いと同様、迷っておられる…というのが、正直な印象でした。
先生が、「The Internet's Own Boy」というドキュメンタリー映画を紹介してくださいました。ああ、こんな青年がいたなんて。(Aaron Swartz…知らなかったことが恥ずかしい。。)。。目下Netflixが30日間無料キャンペーンをしているので、是非多くの人に見て欲しい、意見を聴かせて欲しい!。。。地球を図書館にできるのに、それにブレーキをかけるのは正しいこと。。。??? いやいや、情報の海に溺れるより、陸でのんびりしている方がいい???(こう書いて、Data is not Fuel, but Waterだと思いました^^;;) いやいやいや、知りたいことをすぐさま知れる環境を確保することが大事??? あ~、目が回るぅぅぅ~!
この日の全体の感触として、情報をめぐってじわじわと、body hackingとbrain hackingが進んでいる…つまりフィジカルでもサイバーでも、個人が個人の意思のみでは存立しえなくなってきている…と思いました。分断と連帯がゴチャマゼというか、表現が自由にできる分コントロールもされやすいというか、、、。携えた関心事に関連する話はあまりなかったのですが、来場者アンケートによると、監視のない社会よりは、監視のある社会の方が良さそうだ、と思っている人が多いらしい――ということを感じました。
情報の取り扱いに当たっては、誰しもが、Google創業者の掲げた“Don't be evil”の自制心をもって臨む必要がありそうだなぁ…と、当たり前のことを漠然と思った次第です。盛りだくさんで充実のカンファレンス企画、どうもありがとうございました!(消化するには相当時間がかかりそう。。)
【心を操る寄生生物】 コントロールについてあれこれ考えていた矢先、サイエンスライターの友人がNewtonに、「心を操る寄生生物」に関する記事を執筆したとのこと! もしや情報とは、寄生虫もどき??!
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