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2019年7月 8日 (月)

中国庭審公開網

 先週、仕事半分、興味半分で、「グローバルな紛争解決をめざして」というシンポジウムを聴きに行きました。
 日本の民事裁判のIT化については、このDX時代にあって驚くべき状況だと思われます。なにせ、地裁にあってはこの5月、何やらセキュリティ・ルールが変更になったことから、資料送付はメールでなく“フロッピーまたはCDで”という運用になったのだとか!? 裁判所全体のe-Filingも2023年までは実現しないようで、アメリカの200テラバイトの判例DB公開とは雲泥の差。。。誰もが知るべき情報で、公開する術があるのに、非公開だったり有料だったりするのは、いかがなものでしょうか。予算がないのかもしれないけれど、優先度は高い気がしてしまいます。
 一方、仰天したのは中国の「中国庭審公開網」というサイト。このサイトでは、その日何件の裁判が行われたかが一目でわかる上、重大な裁判はネットで公開されている!!?? リーガルドラマ好きな人もびっくりのサイトです。これがいいのか悪いのかは議論のあるところかもしれませんが、意思決定の速さと政策実行力の高さは、見習うべきものがあると思われます。
 働き方改革云々で慌ただしい日本ですが、アメリカや中国の人たちのこのプロジェクト実行力は、どうやって捻出されているんだろう…?

【川島理論】 また、日本ではなぜ民事訴訟件数が、国際的に見て極端に少ないのか、という議論の際、「川島理論」という言葉を初めて聴きました。いわゆる“あいまいな日本の私”的な裁判嫌い理論かもしれません。確かに、一昔前は(白黒つけたがらないという意味で)そうだったのかもしれませんが、現状は、パネリストに唯一招待されていた企業人の言葉の方に強く首肯しました。「ここまで(法曹界の)先生方のお話しを聴いているだけでも、判断に際してはいろいろな考え方があり解釈が揺れるのだというのがよくわかりました。しかし、企業人としては“揺れては困る”のです」――。律儀な仕事人にとって、判決の予見可能性が低すぎるのだろう、ということ。さらに、昨今のビジネスのスピードとの乖離も一因で、これは日本に限らずアメリカにも見られる現象なのでは、とも思いました。インターネットによる非属地性・即時性・双方向連結性を活かした様々なビジネスやエコシステムが、従来の法律の枠を大きくはみ出しているようです。企業人としては、法律判断を待っている間にマーケットが変化してしまう…お上の判断をじっと待っている暇があったら、自分が正しいと思うことをどんどん実行していきたい…そんな声が聴こえるような印象でした。

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