ヨーロッパハウス
先日、某カンファレンスを聴講しに、ヨーロッパハウスという駐日EU代表部の入っている建物に赴きました。土地柄、街全体が異国の雰囲気でしたが、カンファレンスのメインテーマである競争法に関する国際調和という観点からも、各国の価値観を擦り合わせながら協調し、法律の形も変えていかないと、インターネットを端緒とする現在の世界動向には対処できない混沌状況なんだなぁ…というのが、ひしひしと感じられました。
この日、印象的だったことの1つは、競争当局の執行エラーには2タイプあるというお話。Type1エラーは、本来はそこまで厳しくしなくてもよかった過剰執行というエラー、Type2エラーは、本来は問題にすべきだったのに対応しなかったエラー。どんなケースも、判断はかなり難しいと思われ、「エラー」と言われてしまっては気の毒だなぁ…と思いながら聞きました。
もう1つは、GAFAなどのTechGiantは、今はまだTechBabyとも言える状況だから、執行政策は、そのデリケートさに配慮したものでなければ、というお話(このコメントを聴いた後の私の頭の中では、「千と千尋の神隠し」の坊が、ずっとグルグル回っていました…笑)。私は、この業界の人というのは、寡占・独占にはとても厳しいのだと思っていたので、少し意外に思いつつ感動しました。アメリカではこうした企業体の解体なんて話も出ているようですが、安直な対処はよくない一方、膨れ上がるスピード感が半端ないので、時間的な視点も疎かにできず、過去に例のない過渡期にあるような印象でした。スタートアップ企業がクリティカルマスを超えたか否かというのは、後になってみないとはっきりわからない、という話もあった通り、企業結合に対する対応も、それが正しかったのか否かは、実はよくわからない面も多そうです。
会場からは2度も、ドイツにおけるfacebookに対する処分に関する質問が出ましたが、あの事件はドイツのカルテル庁の処分であってEUの競争当局としてはコメント出来ない、という姿勢が貫かれていました。こうした処分も、庁の垣根を超えて領域横断的に検討する時代になりつつあるのでしょうか。
あちこちと、気の向くままに業界を覗きまわっていますが、どこもここも、インターネットが慣習を変えまくっている感じです。
(会場に、恩師やらお世話になっている方々がおられて、個人的興味で参加した身としては恐縮至極でした…)
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