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2019年12月13日 (金)

デジタル市場におけるデータ集中と競争政策

 大学院で知財関連法を勉強させていただいた際、最も厄介に感じたのが、国際私法と競争法。よもや、仕事で競争法に関わるなんて思ってもみなかったのですが、今、この時代に競争法に触れることができたのは、実はものすごく貴重な体験だと痛感しています。チラッと知財法を齧っただけの私が、公正取引委員会や個人情報保護委員会や消費者庁や欧州委員会といった組織の動向を、こうも気にすることになろうとは、、、。
 で、先日も件の国際シンポジウムを聴きにーー。近頃はどうも、いわゆる“Hipster Antitrust”と呼ばれるような新潮流もあるそうで(by隅田先生)、複雑化する市場や取引の影響が、1つの観点では到底はかりしれない状況なのでしょうが、優れた代案があるわけでもなく、まさに混迷を極めている感触。初学者は、アカデミックな議論にはまったく付いていけませんが、“何が公正か”という当たり前の着眼点のみを携えて考えることは、意外におもしろい。
 以下、備忘メモ。
・ネット時代は、私的な主体がマーケットを作っている
・長期的視点で、新たな理論が必要(競争とは何を意味するのか)
・競争政策は、競争法単独ではなく、労働法・消費者保護法・契約法・事業法等々の間で、互いに進化する
・我々が、今、違法だと考えるものは、変化する
・独占が悪いわけではない
・GoogleによるPandas Filterの利用(詰まらないサイトを外す・・・う~む、Googleファンの私もちょっと唸る)
Alphabetがした合併のうち、競争当局が検討したのは、全体の1%、他99%は即承認
・アルゴリズム(別名:ビジネスモデル)について要検討
・規制の目的は、消費者余剰(CS)又は社会余剰(SS)
・デジタル独占は、仲介のみか、仲介と価格決定の両方か、によって意味合いが異なる
・データの水準が低い時、データ増加はCSとSSをともに増加させ、
 データの水準が高い時、独占企業はデータ収集へインセンティブを持つが、
 消費者はデータ収集を減らすことを求める
・デジタル独占企業による投資のためのインセンティブは、データ分析と製品の質の2つの形態がある

 質疑応答の際、審判決の是非は、将来効を含むので判断が難しい、だからこそ、透明性が重要だ、というコメントがありました。
 また、新しい価値観でスピーディに動き、MicrosoftやIBMの牙城を崩して来たITベンチャーたちでも、巨大になったら、MSらと同じ轍を踏んでいる…との指摘も(この日、FacebookとGoogleが、「働きやすい企業」トップ10圏外へ…)。

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