匿名化って何だろう?
リクナビ関連ニュースで、個人情報の乱用に警鐘が鳴らされています。この問題、別に今回の限られた企業群だけの問題ではなく、“匿名化”と安易に一括りにされている情報操作について、深く考える必要性を提示している気がします。
結局のところ、個人情報保護法は、個々人のプライバシーを侵さないよう、「知られたくない」と個々人が思う情報は、個々人の判断で秘匿しておける状況を担保するためのもの。けれど、プライバシーとは何かは不明確、「知られたくない」範囲も個々人で違うので、取り扱いが実に難しい。
また、あるひとつのフェーズで、一個人と情報の結びつきを希釈して匿名化したとしても、大量にデータを集めている企業にとっては、その結びつきの復元を試みることも技術的には不可能ではないと思われ。。。(画像にかけるモザイクの粒度も、どの程度なら匿名化したと言えるのか、また、今どきは機械的なモザイク処理なら、すぐに機械的に復元できてしまいそう…)。
ネット利用には必ずIPアドレスが必要で、今後マイナンバーカードの携行が高まったり、キャッシュレス決済が普通になったり、顔認証システムが街中に張り巡らされたり、省エネのためには必須と思われる社会システムの一元化が徐々に進んでいけば、匿名化の不完全性は高まらざるを得ないーー。
例えば、もし私が801本でも購入して、その事実を誰にも知られたくないと思った場合(今ならきっとすぐに関連本がレコメンドされるんでしょうが…^^;;)、「日本の、〇〇県の、〇〇市の、〇〇町の、〇〇丁目の、〇〇番地に住む、〇〇歳の、女性で、〇〇のIPアドレスから、amazonにアクセスし、〇月〇日、自宅から、〇時〇分〇秒に、ポチっとなした」、このIPアドレスからは「〇〇や、〇〇や、〇〇のサイト」へよくアクセスされ、「〇〇や、〇〇や、〇〇の映画等をamazon primeで鑑賞していて」、本書は「〇〇急便で配送され」、配送した担当者は「〇〇氏」で、「〇〇というブログを日常的に書いていて、本書の感想もアップされ」、「〇〇という会社に勤めているらしく」、、、と、芋づる式にデータは連なっていき・・・、果たして、どの程度まで希釈すれば匿名化したと言えるのか・・・?? 希釈の程度によっては使い物にならないだろうし、ケースバイケースでその程度にも差がある。。。 「Cookieの利用不可」と宣言したとして、その実効性はどの程度担保されるのか?? 法律が守られることを前提に規制していくより他ないし、それを守らない人がいたら罰則を適用するしかないのですが、世に溢れる著作権違反とそのお目こぼし状況に鑑みれば、大量のWebページとその裏のブラックボックス化したアーキテクチャを前に、法改正による抑止力が限定的であることは、現実問題として直視せざるをえず・・・(汗)。
「匿名化って何だろう?」「通信の秘密って何だろう?」「プライバシーって何だろう?」
ーーインターネットが出来立てホヤホヤの頃は、「ネット上ではすべてがセキララ」という認識でいただけに、秘密にしておきたいことに関して、ネットは利用しない、というポリシーで暮らそうと思っています^^;;。だいたいが、ネット・サーフするのに、どの頁を開いてもいちいちいちいちクッキー利用を確認されるなんて、面倒くさいことこの上ない。。。だけれど、就活のように人生を左右し秘密が前提の活動にもネットが利用される現代の難しさ・・・。
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