AIと差別
先週某日、Zoomによるオンラインシンポジウム「AIと差別」を拝聴しました。
AIの功罪がいろいろ取沙汰されていますが、IBMのAIロボット「Tay」が差別主義者のように育てられてしまったのを好例に、学ばせるデータによって、AIはいかようにも育つことは明らか。「育てたように子は育つ」という相田みつをさんの言葉の通り、AI技術による公正性の担保は、データ収集の公正性にかかっています。
シンポジウムでのメイン・スピーカーだった先生は、AIによる差別の原因を、以下の4つにまとめてくださいました。
1.アルゴリズムの設計
2.データからの学習
3.属性に基づく判断
4.人間によるAIへの責任転嫁
個人的には、そもそも偏見のない人間なんて存在しない気がしますが、だからこそ、こういう問題を学際的に議論するのが大事なのだろうと思います。民族差別のようなあからさまなものから、男女差別、学歴差別、出生差別、遺伝子差別、職業差別などなどなど、挙げればキリがないほどの属性相違による差別意識の表出ーーー。これらを、諸々のデザインによって克服しようという潮流があり、こうした状況下、アーキテクチャにおけるデザインの限界を補うものとして、法(メタデザイン)がある、とのこと。また、アファマティブ・アクションによって、現出している差別を正していく努力も必要な一方、部落問題のように、“寝た子を起こす”ことにつながるのではという懸念もある。。。
本シンポの中で、繰り返し、「女性は育休を取るから採用しない」という企業の事例が取り上げられており、こうした属性に基づく判断は、個人のセグメント化につながるとの指摘もありました。これなどは、男女問わず誰しもが必ず育休を取るようになればいいと思うのですが、こういう“ならす”取り組みも、別の事例では多様性を損なう場合もありうるし、一筋縄ではいかないものだなぁ…と思いました。
AIに限らず、統計や倫理についても、母集団の取り方によって、結果や判断や基準が変わる。。。多様性を認め求める社会で、母集団を公正に取って、差別を減らしていく努力ーーー、逆方向のベクトルの狭間で、社会のデザインに関わる人は、よほど意識的に平等・衡平・公正を検討しなければなりませんねぇ。
【巣ごもりの週末】 この週末、首都圏の住民は皆、外出自粛で家に巣ごもり。終日家にいるって、かなり退屈。。。我が家のリビングは猛烈に狭いので、そこに大の大人が3人揃っていると、逆に“3密”になってしまいそう…^^;;;。読書にもTVにもネットにも飽きてしまうと、延々飲み食いしてしまいそう^^;;。。。昨日はクリームシチューを煮込みましたが、今日はせっせと家事に精出して、春の大掃除デーにでもしますかなぁ…。
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