『問題解決ラボ』
表題の書籍を、先週読了。プロダクト・デザイナーの佐藤オオキさんが、「週刊ダイヤモンド」に連載していた記事に加筆修正して著された本で、各項もコラムも手頃な長さで、サクサク読める楽しい本でした。
デザイナーさんの仕事が、どんな風に為されているのか、あまり当事者的に覗いたことがありませんでしたが、大きく「職人型」と「発想型」に分かれるとのこと。著者の佐藤さんは「発想型」で、世界のトップブランドが採用するデザイナーは「発想型」が多いのだけれど、日本は99%「職人型」らしくーーー。日本の大企業ではインハウスのデザイナーさんが「職人型」のデザイナーさんに外注する図式が目に浮かびます。「発想型」だと、とかく組織の枠を飛び越え、根本的な改善を求めることになったりするので、致し方ないのかな…と思いつつ、コレって、デザイナーさんに限らず、知財部門にも当てはまるな…なんて思いながら読みました。
(問題解決を生業にする仕事は多々ありますが、問題が顕在化するより前に、問題になりうる種を見つけて、その発現前に行動を起こすことも大事だな、、、と思う今日この頃です。)
4章の9,10項が、「ブランドとは信頼」というエッセイだったのですが、こんなところでも、デザインと知財の親和性を感じました。知財が世の中の問題解決を目指すのと同様、デザインも、問題解決によって世の中を善くしていこうというものだからなのでしょう。「発想型」の著者が伝えてくれた“発想”のコツとしては、
・とりあえずやってみる
・あらゆるものをフラットに見る
・オモテからもウラからも見る
・疑い深くある
・自分がワクワクするか自問する
などなど。
20歳そこそこの若い頃、戸山公園のホームレスの方々の飲み会に参加できるようになった時、彼らの住処が、自家発電でキンキンに冷えたビールを飲みながらナイター中継も見られるようになっており、室内犬を飼っていたりするのを目の当たりにして、吹っ切れたのだとか(笑)。「これがホームレスの生活だとしたら、もはや怖いものはない」とーーー。以来、常に玉砕覚悟でデザインに取り組んでいるとのこと。。。極端な逸話ではありましょうが、“「覚悟」のないデザインは簡単に見抜かれる”というのは、恐ろしいけど本当のことだと、私も常々思います。不思議だけど、人の熱意って、伝わるもんなんですよねー。。。
近頃、あまり“熱い”仕事が出来てないな…と自戒しつつ、そっと本を閉じました。
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