知的財産価値評価の実務
外出自粛のこの機会に、弁理士会研修のe-Learningを進めて、一気に規定の60単位ノルマを済ませてしまおうと意気込んでいましたが、なかなか思うように視聴できていません。
そんな中ですが、先日、知的財産価値評価に関する研修動画をなんとか視聴。私に、価値評価の機会が巡ってくるとは思っていませんが、無形資産の価値がますます高まるのは確かに思え、どんな評価方法があるのかは知っておきたくて。M&Aや民事執行の際など、ケースバイケースのニーズがあるようですが、鑑定費用は10万ほどから1億まで、ピンキリの模様。弁理士会には推進センターも設置されているそうですが、事業が国境横断的に為されるのが普通になりつつある昨今は、OECDのBEPSプロジェクトの視点や、SDGsの視点など、評価の基準や重み付けも変化して、分析はますます難しくなっている感触です。
思えば、出版の仕事では、時代や社会のニーズに応じて原稿や著者の選定を戦略的又は無意識のうちに行って、営業部のマーケティングと併せ、市場での価値を高めるべく創作活動していたのでした(要は“売れる本”を企画するということ)。知的財産の価値評価は逆に、すでに“あるモノ”の、時代や社会での価値を客観的に測る作業。いずれにしても、時代や社会の現況を把握しないと、的確な評価は難しいのでしょう。
以下、商標権・著作権の価値評価の観点で視聴ポイントをメモメモ。
・知的財産権は一物多価
・価値評価は、民事執行法による譲渡命令/売却命令や、クライアントが融資を受けたい時の依頼など
・鑑定基準日や、責任範囲・利用範囲の明確化は必須
・参考図書『日本発ブランド価値評価モデル』『ロイヤルティ料率データハンドブック』
・定量的手法(価額算出):インカムアプローチ(cf.DCF法)/マーケットアプローチ/コストアプローチ(cf.ロイヤリティ免除法)
・定性的手法(点数算出):識別力/顧客吸引力/範囲の広狭/権利の有効性
・定量評価に定性評価も加味して検討
・売買事例(バファリン/スイートテン・ダイヤモンド/筆王/ウィザードリィ)
・融資事例(カルバン・クライン/立山(日本酒)/小室哲哉氏の著作権)
(ブランド価値と、時代時代の企業時価総額は、、、当たり前だけど、リンクするよね~。ポストコロナ時代の変化が興味深い。。。)
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