NIIオープンハウス基調講演
先々週、NIIのオープンハウスの基調講演をYoutubeで拝聴しました。
1日目は所長の喜連川先生と経団連の中西会長のお話。SINETのような充実のネットワークが張り巡らされた日本のアドバンテージを感じつつ、Society5.0→COVID-19→共生社会という大きな展望を共有。データ共有の重要性は常に痛感させられますが、今月頭に学術会議からオープンサイエンスに関する提言がされたとのこと。端的に言うと、
①明確なデータ利用のルールをつくろう
②プラットフォームをつくろう
③資料の保存体制をつくろう
の3つ。日本には、暗号の研究者は非常に多いが、セキュリティの研究者は非常に少なく、それも、データ共有の不備によるところが大きいとのこと。今やセキュリティは国家戦略や国防のレベルになっており、企業以上に、国の対応が急務という印象でした。
2日目は、COVID-19をめぐる世界情報集約サイトの構築と、検査結果のAI解析の状況につき、大学や研究所の先生方から解説。医学放射線学会が、5年前から医学関連のデータ収集を開始し、J-MIDデータセンターにはCT画像等が20万件/年も集まるようになっているのだとか。
通常の肺炎のCTだと粒状の白濁として映るところ、COVID-19の場合は網状のすりガラスのような影になるとのこと。コロナ肺炎は、無症状でもこのような影が見えるのだそうで、画像診断の有用性の高まりを感じました。
このような画像診断にAIを利用することは、疫学調査には有用なのだけれど、病理画像の学習用データセット作りは一筋縄ではいかないとのご説明。確かに、ラベリング・アノテーションには医学知識が必須で、普通の人が「これは犬」「これは猫」のようにラベリングするのとはワケが違うため、データセット作りだけでも、専門性のある人を集めるだけで大変そう。。。
2017年から、AMEDの予算で医療ビッグデータ研究センターが運営されており、成果のいくつかが紹介されていました。
・眼底画像による疾患発見
・内視鏡画像への大量ラベリング
・倍率を変えた肺がん検出
・非造影剤CT像からの血管推定識別
・解剖パラメタの大規模解析 etcetc…
医学情報の活用には、個人情報保護の壁が立ちはだかることも多いですが、差別につなげないという徹底したコンセンサスのもと、一刻も早く全国規模で進められたら、、、との思いを強くしました。(とはいえ、情報セキュリティの警戒は日増しに重要度を増し、本当に国防レベルになってきているようです。。。)
【夏至で部分日食】 今日は、2020年でもっとも昼の時間が長く、お日様の南中高度がいちばん高くなる日ーーー。そして、日本各地では夕方、部分日食が見られるかも…^^♪
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