WIPO ADR
先週、興味本位で恐縮ながら、WIPO主催の「調停・仲裁」に関するウェビナーを聴講。
裁判にはとにかくお金と時間がかかる、という認識はしています。が、調停とか仲裁というと、離婚とか遺産相続のケースばかりが思い浮かび、知財関連のADRの利用シーンに遭遇したことがなかったので、そのメリットに触れるべく、大枠の手続きについて拝聴。以下、自分用メモ。
・調停・仲裁には、拘束力と最終性がある
・時間と費用の節約になる(調停期日は約1日、解決までの期間も3か月から1年前後)
・国境を越えた簡易なソリューションであり、取引関係を維持しながら解決を図れる
・ジュネーブとシンガポールにオフィス所在(アジアでの利用は十数%に伸長も、日本企業の利用は1桁)
・非営利団体のため、比較的安価
・手続開始には、両当事者の合意が必要(当初契約書に付託条項を入れ、準拠法等を指定しておくことが多い)
・調停の70%程度は和解で終了
・調停が成らなければ、仲裁(または簡易仲裁)へ
・仲裁人は1名または3名(1名の場合双方合意、3名の場合は双方1名ずつ+両仲裁人によりもう1名選出)
・仲裁[ICT25%,特許19%,商標22%,著作権18%]、国際紛争が75%、中小企業43%/大企業38%
・簡易仲裁だと手数料半額、仲裁も固定手数料
・調停人/仲裁人は、全世界で2000人程登録(うち日本人は約30人:知財とITの専門家)
調停事例を2件ご紹介いただきました。1件は航空会社とソフトウェア会社の調停、もう1件はライフサイエンスがらみの欧/米での事例。1件目は申立から3か月で解決、2件目は困難な案件ながらも18か月で解決とのこと。これが、双方納得の上、ビジネスの継続性も維持されたまま解決しているなら、企業の法務部門は活用しない手はないような…。簡潔な資料で概要を教えていただき、勉強になりました、ありがとうございました。
【Huawei締め出し】 近年、多国籍企業やプラットフォーマーが、各国政府の思惑に忖度せざるをえなかったり、通信技術開発が、一企業の製品にとどまらず、国家政策に影響してしまうような場合も増えているようです。そういう意味では、国際司法裁判所や、それと並ぶ常設仲裁裁判所の出番なんかも増えているのでしょうか…?!
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