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2020年8月22日 (土)

「Law & Technology No.88」

 放送のネット配信促進の動きや、新型コロナ禍によるテレワークやリモート授業の便宜が検討される中、過日、大学院時代の友人情報で、著作権制度改革の議論が新しいフェーズに入っているのを知りました。
 また、音楽教室事件判例詳解について、著名な先生が
記事を寄稿されている雑誌も教えていただきーーー。いやぁ、持つべきものは友!

20200821_3  あちこちの書店や図書館で、この音楽教室事件に関する記事が読めないかと検索を繰り返しましたが、手近な所で在庫が見当たらなかったため、やむなくamazonでポチってしまいました^^;;;。私自身も10年以上ピアノ教室通いをしていましたが、本記事の著者である先生は、玄人はだしの楽器演奏家であると伺っており、そういう意味でも、この先生が音楽教室事件についてコメントされるのは聞き逃したくない、という気持ちが強かったのです。詳解記事中、印象的だった部分をメモメモ。
・前半は事案と判旨の解説で、後半で主に、「生徒の演奏についての演奏主体性」と、「聞かせることを目的」「2小節以内の演奏」に絞って議論
・カラオケボックス法理における客の歌唱の演奏主体性の解釈につき、“アクロバティックで強引”とする学説も紹介(P.34脚注(44))
・クリエイタですら約7割が、音楽教室での(演奏に係る?)著作物利用は無許諾無償でよいとするアンケート結果を紹介(P.36脚注(51))
・補償金請求権付きの権利制限規定の創設を検討することもやぶさかではなさそうな感触(P.36)
・年間の包括的利用許諾契約につき、2.5%の妥当性は検討課題になりうるとのご指摘(P.38)
・現実的態様として、生徒が演奏しないレッスンはないが、教師が演奏しないレッスンはあるし、時間的にも教師の演奏時間は短い、とのご指摘には強く首肯
 徹頭徹尾、法律家としての記述に終始しており、(当然ながら)演奏家としての感想やコメントは見られませんでしたが、やっぱり長年レッスンを続けてきたお立場からのフランクな見解も伺ってみたいです。
 ともあれ、本記事を読んで、ずいぶん勇気付けられたのは確かです。ずっと悶々としていることの原因の一部を、端的に明文化してくださっていたからです。以下の二つの文を引用して、感謝の気持ちに代えつつ、雑誌の宣伝に貢献させていただければと思います。
(P.34左上):著作権というのは、あくまで一定の支分権該当行為を行う者に対する独占権にすぎないのであって、“著作物で利益を上げる行為”を一般的・包括的にカバーする権利ではない。
(P.37右下-38左上):一般に、わが国においては、最高裁判決を中心とする裁判例の前提や直接の射程を超えた「参照」やフレーズの反復が散見されるところであるが、主観的には先例に沿う意図であったとしても、無批判な屋上屋の果てに、いつしか特殊な世界に逢着していないかどうか、不断の自問を要することをあらためて強調しておきたい。

 個人的には、コンテンツ流通の世界へ、なんとか“肉”の小片として食い込み、実感を伴って問題意識を醸成し、不断の自問をすることが、当面の目標かなー。いつも情報をシェアしてくださる友人たちにも感謝です!

(本誌のP.39-46には、別件で結婚式のビデオ撮影に関する訴訟の事案について掲載されていたのですが、パラパラと読み飛ばしていたら、こんな記載が(P.40)ーーー「Xは、平成29年3月28日、JASRACから、記録用ビデオの利用許諾料として411万円余の請求を受けた。Xは、平成29年6月30日から同年9月26日までの間、JASRACに対し、少なくとも、合計96万9092円を支払った。」・・・この事案の費用算出法はわかりませんが、式場が演奏し、Xたるカメラマンが録音録画し、Yたる映像会社が複製したと考えると、結婚式場での著作権使用料は膨らみがち。試験導入されている1回につき15000円という著作権使用料は、結婚当事者の費用に含まれ、式場が支払うことになっているのでしょうか…? 一般書籍5000部で歌詞のワンフレーズを利用すると3000円弱かかるのに比べると、メロディの録音録画複製は割高ですね。)

【編み物動画】 編み物動画をめぐってのYoutubeの著作権侵害動画削除手続きに関する事件も。著作権法が、まさに“お茶の間法”になってきているのを痛感します。

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