『カーボンが創る未来社会』
先日、表題の本を読了。ちょうど、菅新総理の所信表明演説で、「2050年までに温室効果ガス排出量ゼロ」の目標が掲げられたタイミング。
“脱炭素”というと、なんだか生命も含む有機物全般の存在が疎まれるような感じもしてしまいますが^^;;、今、工学分野ではカーボンが熱い印象です。本書では、グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブ、ダイヤモンドといった、さまざまなカーボンを利用した、最新研究動向を易しく解説してくれています。燃料電池の高効率化、太陽電池の発電効率や耐久性を上げるためのデバイス開発、テラヘルツ検出・イメージングを実現する周波数可変型のフレキシブルセンサー&カメラの研究、量子通信のための単一光子源の実現、高感度な電子スピン量子センシング、摩擦によるエネルギー損失低減に有用なアモルファスカーボン被膜作製などなど。ムーアの法則がぼちぼち頭打ちになりそうな業界に、次なる地平を見せてくれそうなカーボンの可能性の数々。
個人的には、炭素原子の組み立て構造の違いで、様々な特性の違いが現われるというのが面白く、レゴブロックのように、自由自在に希望する特性を実現する構造が組み立てられたらスゴイのになぁ~と思いながら読みました。
【ベータボルタ電池から…】 目下夫が関心を寄せているのは、“ダイヤモンド電池”と呼ばれる、炭素14 を使った一体型の、微量出力の長寿命電池。(ArkenlightとNDBという会社が試作や実証実験中のようですが、Arkenlight のものは2018年に特許出願されており、今後の進展が気になります)
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