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2021年1月29日 (金)

The Queen’s Gambit

20210124_8  友人が、「すごく良かった!」と勧めてくれたドラマ「クイーンズ・ギャンビット」。タイトルは、チェスのオープニングで数ある戦術のうちのひとつの名称。つい先日、「ボビー・フィッシャーを探して」というチェスの名手の少年時代の物語を観たばかりですが、幼少の頃にその才能を開花させた男の子と女の子の人生の一端でありながら、両作の趣はずいぶん違ったものでした。ボビーは実在の人物でしたが、フィクションである本作のベスの華麗な連勝ぶりや、偏屈でストイックで社会性に欠けるところなど、ボビーのその後のようにも見えつつ、実は原作者ウォルター・テヴィスが色濃く反映されているのだとか。
 どちらにもそれぞれ良さがあるものの、作品の雰囲気や、人生の哀切の描写に関しては、断然本作に軍配を上げたいと思いました。(ドストエフスキーを原書で読みたくてロシア語を勉強してる、という男性が登場したときには、学生時代の自分を思い出してなつかしくなりました~♪)
 全7話のこの物語からは、「人生には、誇りときらめきが不可欠」…と、つくづく感じさせられました。ベスに注目しつつも、中盤はかなり養母アルマに心を奪われたのは、歳のせい。。。? それというのも、彼女の弾くピアノ、アルコール依存、恋愛や旅への渇望、母としての慈愛、プロのチェスプレイヤーとなった娘のマネージング等を通し、人生の現実と夢が交錯する様が見事に表現されているように感じたから。
 真の母と、養母とを失ったあとのベスが、頽廃的になりながらもなんとかチェスを通して現実と繋がり、たくさんの人に助けられながら、やがてはトラウマを克服し、最後には、雲の上の存在だったロシアのボルコフに勝利する…怒涛のラストの爽快感は格別でした。シャイベルさんとの出逢いが、彼女の人生を大きく回し、才能を糧にしっかりと自立していく様が、何よりの恩返しになっている気がして、人の生涯は多かれ少なかれ、こうして継承されていくものなんだろうな…と感じました。
 アニャ・テイラー=ジョイという女優さんの、大きくて挑みかかるかのような瞳が本当に印象的で、役柄にピッタリで感動。
 ベスの最大の目標だったモスクワ大会でのボルコフとの対局を見ながら、「なんだか、『あしたのジョー』のジョーとホセみたいだな…」と思っていたら、エンディングロールの前に、“イップ・ルービングに捧ぐ”という文字がーーー。「誰?」と思って調べたら、なんと、世界チェスボクシング機構を創設した人でした! 本作に、どんな貢献をされたんだろう。。。? 自身の直観的な作品把握に笑ってしまいましたが、チェスとボクシングは、脳と拳という違いはあれど、四角いリングで1対1の熱い闘いを繰り広げるという意味で、なまじ突拍子もない感想とも言えないよね…と内心ニマニマ…^^;。
 鑑賞後、本作を紹介してくれた友人としばし感想交換。昨春からずいぶんとイロイロな作品に触れていますが、飛びぬけて面白かったね!と、共感し合ったのでした。素敵な作品のご紹介、どうもありがとう~!!♪
 

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