the social dilemma
先月、Netflixオリジナルのドキュメンタリー「監視資本主義」を視聴。
登場するのはいずれも、今をときめくテック企業に勤務したことのある人ばかり。GAFAをはじめとする牽引企業の中で、さまざまなビジネスモデルを開発してきた人たちが、イノベーションが思いもよらない使い方をされるようになり、SNSが民主主義の弊害になりつつある現在を憂いて、軌道修正を促すべく立ち上がっている、というもの。まるで、ウインナー製造業者が「自分の子に、自社のウインナーは食べさせない」と言っているかのように、テック企業の開発者が「自分の子に、(16歳までは)SNSを使わせない」と一様に言っていました。
ビッグデータを駆使して、自在に人心を操る、擬人化されたAI の描写が不気味でした。日本では、まだそこまでSNSに操縦されるような人はいないんじゃなかろうか…と思いつつも、大人たちがスマホを“デジタルおしゃぶり”のように手放せなくなっているのは確かだし、様々なフェイクニュースに踊らされる人も増えて、“情報感染”は確実に広がっているのも痛感。今や、真実を映す正確なニュースは減り、多くの情報は何らかのプロパガンダになっている。人によって、日々目にするニュースの種類がずいぶん異なり、観ている情報・世界が別物のように違う。
本作で提示されるいろいろな事例が空恐ろしく、知らない間にスマホを見ている時間が増えて、いいように操られているんじゃないかと思えてきました。テクノロジーの悪用は、法律を作って制御するしかない、という主張も尤もかもしれません。「収集データ量に応じて課税する」というのは、意外といいアイディアかも。
最後の方で、若かりし日のスティーブ・ジョブスが澄んだ瞳でコンピュータの可能性と明るい未来についてスピーチする映像が流れるのですが、それ以降は、データ・サイエンティストたちの楽観主義が前面に押し出されていて、軌道修正はできる!と思わせてくれました。
自分とは違う意見の人の話も真摯に聴き、信頼をもって議論し、自分の頭でとことん考えるーーーまずはそこからだろう…と感じました。
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