『幻夏』
『犯罪者』に続く『幻夏』を先月末に読了。産廃問題に続き、冤罪と司法制度への問題提起になっており、哀切な展開は前回と変わらず。。。
日々誠実に職務遂行されている警察官・検察官・裁判官の方々からしたら、ひどいフィクションだ!と憤慨されるのでは…??と心配してしまうほど、身内贔屓と功名/出世に血道を上げるばかりで、市民への共感の欠片もない公務員たちが、冷酷非道に感じられます。それでも、「叩き割り」とか「恨みません調書」なんて言葉が現実にあるとおり、必ずしもすべてが想像の産物にとどまるわけではないらしいのが、恐ろしいところ。
冤罪に限らず、納得のいかない裁判結果というのは往々にしてあり、少なからず怨念を抱いたままの人というのも一定数いると想像しますが、その陰には、今回の物語のように、人生をまるまる狂わされてしまう家族もいるのかもしれない。。。そう思うと、成績とか処理件数とか手間とかに踊らされず、地道な捜査と司法判断を願わずにはいられません。
そういえば、2019年6月に義務化された“取り調べの可視化”は、現在何%くらいまで来ているのでしょう? 街中の防犯カメラの増大スピードを見れば、全件可視化なんて簡単なことに思えるのだけれど…??
今回は、相馬・鑓水・繁藤トリオに加え、科警研の倉吉望という男性が登場し、なかなか素敵な人だ!と思って読み進めていたのですが、とんだドンデン返しに唖然! 読んでのお楽しみ~!
客観的な科学捜査という意味で、科捜研は某ドラマですっかりお馴染みですが、科警研はまだあまり知名度は高くないですよね? 本書の中に、科警研の研究官はとても優秀だ、という記載があり、内心嬉しく感じました。というのも、小さい頃よく遊んでもらった従兄のおにいさんが、科警研にいたもので…^^♪ なかなかお会いする機会がないので、仕事の詳細について伺う時間は持てずにいますが、長らく犯罪予防の研究をしておられたようで、“予防派”の私としては、とても誇らしく思っています。
それにつけても、修司は一体、何回生死の境をさまよえば気が済むのか。。。?! これ以上、亜蓮ちゃんを心配させたら許さんぞ!!(笑)
三部作最後の『天上の葦』は、どんな社会問題に光を当ててくれるのか…?! 「すご~く楽しみだけれど、1ページ目を開いたが最後、他のことが手につかなくなりそう…」と、しばし躊躇していたものの、ガマンできたのはたった1日だけ^^;;。好奇心に負けて読み始めてしまいましたぁ~(汗)。でも、ゆっくりゆっくり堪能させていただいています♪
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