« 桜花爛漫 | トップページ | 自家製タコライス »

2021年3月26日 (金)

スマート レギュレーション

20210320_4 20210320_3  「規制」という言葉や概念について、かつては考えてみたこともなかったのですが、前職ではごく当たり前に考慮すべき言葉になりました(法律も規制の一部という意味では、生まれてからずっと関わってはいるわけですが…^^;;)。
 思えば、変化のスピードの激しい昨今は、企業のみならず個人であっても、様々な規制を意識せざるをえなくなっています。個人情報保護法や著作権法、独占禁止法といった法的規制や、緊急事態宣言のような臨時の規制など、いわばモラルや常識やリテラシーの範疇になってきています。
 社会のこうした「規制」は、従来なら「規制なし」「自主規制」「法的規制」と大きく分類すれば事足りていました。政府が、社会を掌握してコントロールする範囲が狭くても済んでいた、とも言えるでしょう。けれど、多様性が増し、技術も“日進月歩”ならぬ“秒進時歩”となり、新たな問題が次々と持ち上がる昨今、掌握はおろか、把握するそばから変化してしまうという状況。コントロールを要する範囲が格段に広がって、尚混沌が収まらないーー。
 こんな時代には、「共同規制」という取り組みが必要だろう…という提言が、ずいぶん前からなされています。従来からこれに類する形もあったとは思われますが、欧米のように、明確にそれを意識した上での法政策がなされていなかった模様。
 そんな中、先週、ネット広告規制について、内閣官房からこの「共同規制」を意識した声明が出され、Google Japanのブログでも、これに同調する記事がアップされました。個人的には、政府が“掌握とコントロール”に関して一部白旗を上げたようにも見えつつ、今後は、細かな政策を作り込むより、もっと“理想と倫理”を明確に掲げて、それを共同体で共有する努力と役割が求められるようになるんだな…と感じました(昨今の政府のゴタゴタを見ると、“理想と倫理”を掲げる適格性を疑わざるを得ないのは皮肉なことですが…^^;;)。少なくとも、プラットフォーム企業が、統治の一部を倫理的に担う流れは、拡大していくということでしょうか。外資が、国内不動産を買い漁ったり、企業の大株主になったりと、規制の枠組みも国内だけにとどまらなくなりつつあって、正直混乱しています(だから国際法 を読んでいるわけだけれど…^^;;)。
 先の緊急事態宣言では、必ずしも個々人レベルで“理想的行動”のイメージが共有しきれなかったように見えますが、ネット広告規制に関しては、まずは企業と政府との意識共有で済むという意味で、いいテストケースなのかもしれません。
 激動の時代の「スマート レギュレーション」の在り方、興味深くウォッチしたいと思います。
(ただ、個々が独立協調する“共同”ならいざ知らず、強引なネット規制とか、民営化の逆張りとか、放送人事とか、メディア人事とか、内部からジワジワと支配されるような“共同”は、考え物??ーーー昨夜、日本アカデミー賞受賞の「新聞記者」という映画を観て、当たらずと言えども遠からず…?と恐ろしくなってしまったのでした。)

|

« 桜花爛漫 | トップページ | 自家製タコライス »

学問・資格」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 桜花爛漫 | トップページ | 自家製タコライス »