商標のコンセント制度とM&A
2021年度が始まりますね! 新年度で環境が変わる人も多い季節ーーー。
ビジネス判断のスピード感が増す近年、M&Aがそこかしこで繰り返されているようです。知的財産権の存続期間のうちに、M&Aが何度も行われるケースも珍しくないのかもしれません。そのような場合に必要になるのが、「会社分割による移転登録申請」。
例えば、商標権を1つ移転する場合、登録には3万円(も)かかります(更新も含めればもっと)。単純にA社→B社という1回の移転登録なら面倒でもないのでしょうが、A社→A’社→B社→B’社→C社→D社→D’社…なんていうM&Aの枝分かれの連鎖を辿る必要が出て来ると、分割による移転登録も複数回必要になり、混乱することは必至^^;;。思わず、「新規に商標登録出願し直しちゃう方が話が速いんじゃ…?」と思ってしまったり。。。^^;;;;
昨年末に出た『別冊 Patent』に、「令和時代のコンセント制度」という記事がありました。企業からは長年、コンセント制度導入を希望する声もあるようで、上記のような場合などは特に便利なのではないのかなぁ…と感じました。少なくとも、現権利者と後願者が、容易に意思疎通できる関係にあるグループや関連会社間であれば、調整は容易な気がします。単なる時間とお金の倹約という観点からは今すぐにでも欲しい選択肢ですが、導入に当たっては制度全体の検証が求められるのでしょうね。
平成18年の調査では、卸売・小売・サービス業等においては、20%前後もの数の企業が、なんらかのM&Aに絡んでいるのを見ると、商標以前に、企業動向の正確な把握自体、かなり大変に思えてしまいます。株式の持ち合い等、法務省が管轄する登記事項が“見える化”できたなら、相当複雑怪奇になるのかも?!(外資がかなり食い込んでいることも懸念され、不動産と併せて気がかりです)
【審査基準42.111.03】2020年の改定で、すでに支配関係にあるグループ会社同士の4条1項11号は、陳述書の提出でクリアできるようになっているようですね。
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