「新聞記者」
先月末、初めて日本アカデミー賞の授賞式の一部を見て、「なんだか最近は、私好みの硬派な作品もずいぶん評価されるようになってるんだ…」と関心が湧き、前回作品賞を受賞した「新聞記者」という作品を観ました。
この作品を作ること、出演すること、評価すること…いずれも、勇気のいったことだろうなーーーというのが第一印象。
現役の女性記者の原作原案があるとはいえ、かなり思い切った演出に背筋が凍りました。『天上の葦』さながら、世論操作する内調のイメージを世間に印象付けるという意味で、まっこう喧嘩を挑んでいる感じ。ただ、“権力を監視”する新聞というメディアの弱体化も、感じざるをえませんでした。新聞はまず、熱烈な信頼を寄せる読者を獲得する努力をしないと、独り相撲に終わりかねない…という危機感。作品中では、(省略されているのでしょうけれど)取材に飛び回る記者本来の姿が、あまり見られませんでした。
そんなわけで、本作タイトルは「新聞記者」でしたが、むしろ「懐柔された 反逆の官僚ホープ」の方のイメージが強かったです。
近頃は、“文春砲”ばかりが気を吐いて、新聞は権力の広報機関のようにすら見えてしまいますが、それくらい、時の権力は「怖い」のか…。多くのメディアが、危ない橋を渡れない常識的組織にならざるをえないのは、家庭があり人生があり、平穏な暮らしを求めるがゆえなのか…。
ラストシーンは、どう理解すればいいんだろう…? 結局は権力者の思惑通り???という衝撃的なものに見えて唖然としました(汗)。なんというか、国民がこれだけ弄ばれて不満を募らせ、真実を知りたがっているのに、なにひとつ明らかにされないまま、うやむやと先送りばかりで、その異常さも時の経過で忘れさせられてしまうということの繰り返しに、恐怖感ばかりが募る今日この頃です(T T)。
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