Google v. Oracle判決後におけるソフトウェアの著作権保護とその限界
先週、表題のウェビナーを聴講。JAVAのAPIに関する著作権がらみのアメリカ最高裁判決について。
判決では、APIの著作物性については判断が示されなかったものの、フェアユース法理に関して新たな展開が注目されているとのこと。本訴訟へ意見提出を行なったパメラ・サミュエルソン教授が登壇されるということで、拙い英語力ながらもご講義を拝聴しました。
これまでのフェアユースに関する最高裁判例としては、「Sony事件」「Harper & Row事件」「Stewart事件」「Campbell事件」がありますが、今回の事件は、Campbell事件をより精緻化した判決として重要になってくるようです。なかでも、変容力(Transformation)の有無の重視(cf.SCE v. Connectix事件)や、第2要件(著作物の性質)重視、陪審の認定重視の傾向は、ソフトウェアに関するフェアユースの判断において無視できないものがありそうです。
今回の裁判では、APIというものを理解するのにかなりの議論がなされたようですが、もし日本で同様の裁判が行われた場合の判断も気になります。日本の著作権法10条3項の「この法律による保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない」という記載の“規約”に、果たしてAPIが相当するのか、APIに著作物性はあるのか等、議論は分かれるものと思われます。
寄せられたご質問の中に、「CAFCはプロコピーライトの立場で、APIの著作物性肯定説が残ったままと見受けられるが、権利行使したい側としては、特許権を被せるのは有効か?」というようなニュアンスのものがありました。ソフトウェアの発明該当性についてはまるきり勉強不足なので何とも分からず仕舞いでしたが、APIというのはソフトとソフトの繋ぎ目のようなイメージで、尚更扱いは厄介なのでは、、、と感じてしまいました^^;。
Webinar終了の頃合いに、サミュエルソン教授が“Air Quotesポーズ”をなさっていたのがチャーミングでした(笑)。貴重な機会をいただき、ありがとうございました!
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