『世界の神話』
南方熊楠や柳田國男の民俗学に感化されてか、先月後半は岩波ジュニア新書の『世界の神話』なんて本を読んでいました。
なんというか、コロナ禍の報道や、五輪実施の強硬姿勢や、政治家や官僚の腐敗や、政府と大企業の慣れあいや、新冷戦の兆候など、ラグナロクかカリ・ユガかというような終末観を抱かずにはおれない昨今。
世界各地で同じように格差が広がっているのと同様、世界の神話にもいろいろと共通項が多いことに不思議を感じます。本書で紹介される対象地域は、インド、メソポタミア、エジプト、アフリカ、ギリシア、ケルト、北欧、インドネシア、中国、オセアニア、北米、中南米、日本と、幅広いのですが、いずれにも、創世や天地開闢、洪水や混沌や終末、英雄の誕生、神々の争い等、似たような物語が語り伝えられており、(伝播もあるでしょうが)人間の想像力や行いのパターンは、いずこもそう変わらないのだろうと思わされます。
印象的だったのは、多くの地域の神話では、時代はだんだん悪くなり、それに伴って人間の性質も悪くなるのに対し、アステカの五つの太陽の神話では、人間はだんだんと良くなって未完成だったものが完全になっていく…とされていたこと。マヤ・アステカ文明の遺跡には興味深いものも多くて、天文学なんて感動モノの蓄積があったりするようですが、“だんだん良くなる”人間でありたいものですねぇ。
【維摩経】 次なる読書は「100分で名著『維摩経』」です。維摩居士とはどんな人だったのか、興味が湧きまして、、、^^。本ブログのタイトルは禅の教えから一部拝借しているわけですが、大乗仏教の中でもユニークで面白そうな維摩経に、ちょっとだけ触れてみようかな~と思います♪
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