ETV特集「日本の原爆開発」
米英独ソの原爆開発の舞台裏が詳細に記された『原子爆弾 1938~1950』を読んだこの夏に、日本の原爆開発に関するETV特集「日本の原爆開発」が放送されていたので、夫と二人で見てみました。仁科芳雄先生の未公開書簡に基づき制作された番組でした。
これを見る限り、日本も欧米と時を同じくして似たような研究を進めていたのがよくわかりました。だいたい仁科先生は、1923年から5年余りもの期間、ボーアの元で研究していたわけだし、仮に日本にもウラン鉱床があり重水があり、国土やマンパワーや資金が潤沢にあったなら、ほぼ同等に研究は進んだのかもしれません。
1945年7月に陸軍が原爆開発に見切りを付けたその翌月、アメリカのリトルボーイが広島の空で光るとは、仁科先生にとっては二重の苦しみだったろうと拝察します。自分たちの方が先に完成させていたら、広島や長崎の被害は防げたかもしれない…という苦しみと、仮に先に完成させていたなら、他国の多くの無辜の命を奪っていたかもしれない、(実験だけとっても凄まじい自然破壊…)、そんな酷い研究を進めていたのだ…という苦しみ。
単に、自然法則の解明を夢見て、動力源としての核分裂反応を研究していたはずが、軍からの資金提供を受けてしまったばかりに、こんな苦しみを背負うことになろうとはーーー。
学術会議の政府からの独立性を考える上でも、貴重な書簡の数々だったように思われます。
(個人的には、日本が他国に先んじて原爆開発に成功しなくて良かった…と感じてしまいましたがーーー昨夜のNHKテレビの「たけしのその時カメラは回っていた」での“世界のプロパガンダ”では、戦争協力するディズニーの話や、原爆の安全性に関する誤った情報発信など、背筋が凍るものが多かった…。一方、当時ハンガリー大使だった大久保利隆氏の手記の存在を紹介していたニュースには、いつの時代にも良識的な人は必ずいることを心強く思ったり…)
【発明TV】 最近NHKで、未来志向の新発想系・発明がらみの番組が増えているような…。「お試し!未来さん」とか「世界四大化計画」とか。どちらも、“時代に即して着想の重みを検討する”という意味で面白いと思います~^^。
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