「出版コンテンツの著作権侵害」
先週、表題のウェビナーを聴講。
「はるか夢の址」と「漫画村」事件を中心に、出版コンテンツの著作権侵害について解説してくださるとの内容に惹かれ、聴かせていただくことに。
アニメ「東京BABYLON」の制作中止も身辺で話題ですが、著作物を“盗用”するという行為は言語道断としても、“マネぶ”ことと、“創作”すること・“文化の発展”ということとのバランスについては、関心が尽きません。若者の、メディアとの接し方も興味深い。。。
本セミナーは、サイトブロッキングの問題や、ファイル共有ソフトの哲学にも通ずる二大事件の解説ということで、まだ民事訴訟継続中で話せないことも多い中、とても興味深く勉強になるセミナーでした。
恥ずかしながら、ACCS(コンピュータソフトウェア著作権協会)の具体的なお仕事をよく知らずに来ましたが、個々の出版社がなかなか動けずにいる問題について、地道にご尽力くださっていたことを知り、頭が下がりました。
まずひとつ、自分用に、事件のタイミングをメモ。
問題の顕在化 閉鎖 根拠
Winny事件: 2002年5月~ (2004年5月) 23条(2011年末、制作者無罪確定)
はるか夢の址事件:2011年 ~ 2017年7月 23条(首謀者3名逮捕)
漫画村事件: 2017年5月~ 2018年4月 23条、80条(首謀者4名逮捕)
出版不況と言われて久しいですが、動画等のネットコンテンツの充実以外にも、こうした盗用行為の横行が、本が売れなくなっている一因であることは確かなのでしょう。ダウンロード形式だった「はるか夢の址」でさえ、損害額の算定は大変だったようですが、オンラインリーディング形式(立ち読み形式)の「漫画村」では、アクセス数の把握も困難で、被害の特定が難しいながらも、年間数百億レベルの損害はあったと思われます。
現場は、こうした売上減に伴い、企画採用を絞らざるを得なくなり、冒険的な新規企画はますます通りづらくなります。結局、大衆受けするコンテンツばかりが幅を利かせるようになり、価値観がコモディティ化して、人間性が薄っぺらくなる危険が高まります。まさに“文化の発展とは真逆の潮流。
無料で良質のコンテンツに触れられる人が増えることも、“文化の発展”には有用、という見方もできなくはないでしょうが、仮にも著作権法という法律の元にいる限り、不法に甘い汁を吸う(Leech)ことは許されないのは言うまでもなく。。。ただ技術的に、アクセスしやすく、軽いサイトで、構成もユーザフレンドリーなど、今後出版社がコンテンツを公衆送信で読者に届けるに当たって、学ぶべき点も多いような気がしました。
(とにもかくにも、まずは広告料分配の仕組みにメスを入れるのが先決な気も…)
講演者の中川文憲氏もおっしゃっていた通り、著作権の取扱いは、著作権者によって考え方が違ったりもするので、一律に取り締まるのは難しい。本来は、創作者ごと・権利者ごとにきめ細やかに対応するのが、法目的を最大限に実現することだと思いますが、それが出来ないから苦労するんですね…。ともあれ、貴重なご講演、ありがとうございました!
【本棚整理と千年パズル】 そういえば先日、マンガとラノベをこよなく愛する息子が、粛々と本棚整理をしていました…^^;。ミニ図書館が出来るくらいの量はあるような気がします…(汗)。
また昨日は、ゴソゴソとプラモデル制作。「遊戯が8年かかって組み上げた千年パズルを、2時間弱で完成させた」そうです^^;;;。このパズルを考案した人も、商品化したBANDAIさんも、スゴイ!
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