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2021年8月 6日 (金)

「スパイの妻」

20210728_2 20210801_4 20210801_5  カンヌ国際映画祭で、「ドライブ・マイ・カー」で脚本賞を受賞された濱口竜介監督。彼がこの直前に関わった「スパイの妻」を、先月最後の日曜日に鑑賞。先月から読み始めた原子爆弾 1938~1950年』と呼応して、当時の米英独ソの戦争の舞台裏に対する日本の情況を引き比べる意味でも面白く拝見しました。
 私の中では、ハッピーエンディングだった本作。感想はただひとつ、「この時代にあって、狂っているのはどちらか?」というヒロインの呟き。
 “国”という境界があるから、“スパイ”なんて言葉で括られてしまうけれど、要は“考え方の違い”。何に重きを置いて生きるかは、人それぞれだということ。。。(タイトルは本来、「コスモポリタンの妻」だったのかも。。。)
 愛する人と、ただ平穏に一緒に暮らしたい…という素朴な思いが、時に友人を売り、国を売るような行為にまで走らせる狂気もさることながら、そんな平凡な暮らしをブチ壊してまで突き進む戦争という狂気。そんな世の中でも一途な思想を持つ夫に不安を覚えながらも、「必ずどこかに仲間はいる」という言葉に覚悟を得て、信じた道を進む妻ーーー。
 当時と比べ、多種多様な人達が、各々自分の意見をSNS等にアップする昨今。時折、自分とは真逆の主張を声高に叫ぶような人を見掛けると、「自分が間違ってるんだろうか…?」と迷うこともままありますが、結局のところ、考え抜いて結論を出すのは自分自身。
 逡巡し、葛藤している人の、掴み切れない本当の心のうちは、想像するしかない…、という諦観をもって眺めた本作は、以前観た対話劇の舞台「COPENHAGEN」と、少しシンクロしているような気がしました。
(「ドライブ・マイ・カー」は、8月20日公開…)

【サランラップとアルミホイル】 上記映画で主人公達が極秘文書を包んでいたのは「油紙」 でしたが、同時代の20世紀初頭、「サランラップ」はアメリカで、「アルミホイル」はスイスで、発明されたんですねー。

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