映画「三島由紀夫vs.東大全共闘」
先月、TBS「ひるおび!」のコメンテーターの方が、共産党の党綱領に関して発言して、一転謝罪するという、一連の報道を見ました。
この報道に後押しされて、見ようか見まいか迷っていた映画「三島由紀夫vs.東大全共闘 50年目の真実」を観る決意が固まりました^^;;。
個人的に、男女の性差すらグラデーションなのだから、いわんや思想をや、で、左右の考え方はあくまでグラデーションであると思っています。けれど、歴史的にはイデオロギー闘争に青春や人生までも捧げる人がいたのも事実(今もいるのでしょうか…?)。本作は、ほんの半世紀ほど前に実在したそんな人達のひとつの討論会の実録。正直、言葉遊びのような議論に時間を費やすよりは、ゴミ拾いや道案内でもしている方が性に合っている私ですが、三島という人が、若者との討論に真面目に向き合う姿勢には、感銘を受けました。画面に映る人たちは一様に、人生という舞台を自ら演出しているかのようで、「900番教室、優雅だなぁ…」と頓珍漢な印象を受けてしまい、それは三島氏に対しても同様なのですが、この演出が、憲法改正を訴える自決で幕を閉じることを踏まえると、あまりに真っ直ぐな熱情が、痛々しいほどでした。 1970年の大阪万博の記憶が、アルバムのセピア色の写真と共に微かに残る私の幼少時代、その前後にこんな人達がこんな活動をしていたなんて…。マスコミに意図的に切り取られた時代感で、ものすごく局所的な出来事なんだろうとは思いつつ、対話の大切さ、相手への敬意、情熱と言葉の力…そんなものを見せつけられて、右も左も「あやふやで猥褻な日本」に幻滅していたという言説に、なんとなく納得してしまったのでした。
近頃は、好戦的な人や集団を見ても、戦隊ごっこをしている子どもにしか見えなくなりつつあります。もっと、思想の熟成と現実的な行動とのバランスの良い人物の登場を希求してしまいます。(昨日玄関先に共産党の方が「憲法9条改正反対の署名をお願いします」といらしたのですが、この不穏な世界状況で、敗戦国としてでなく対応することを考えると、概念的には大切に思いつつも、安易に署名することは考えてしまうのでした…)
【メルケル首相退任】 今秋でドイツ首相を退任されるメルケル首相は、私の憧れの人のひとりでした。ハンブルク生まれで東ドイツ育ち、ロシア語や数学が得意で、理論物理学博士。宗教家の娘で自転車好き、大学の同学部生と結婚し、ベルリンの壁崩壊とともに政治家に転身・・・。好奇心旺盛で行動派の、バランスの取れた人であるようにお見受けします。頭でっかちでなく、博愛を行動で実践した、数少ない政治家だったのではないかと感じます。お疲れ様でした!
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