『黒牢城』
昨年最後の読書は、米澤穂信さんの『黒牢城』でした。
「軍師官兵衛」の岡田准一さんをずっとずっと念頭に置きながら読んでしまいました^^;;。
が、最初から最後まで、いい意味で予想を裏切られる、不思議なテイストの歴史小説だったと感じます。
私がもっと日本史に詳しくて、「信長の野望」等の知略を愉しむ綿密な知能の持ち主だったら、きっと、もっともっと堪能できたのではないかと思うと、少し残念。途中までは、孤高の知将の孤独がテーマか?とか、男たちの陰で歴史の糸を引く女性の話か?とか、盤面を前に位も忘れて理知的な会話を愉しむ城主と捕虜の話か?とか、戦国時代を舞台にした謎解きミステリーか?などなどなど、いろいろ想像していましたが、どうやら、いずれでもないようなーーー。
官兵衛が遺したとされる心得の、「神の罰、主君の罰よりも、臣下万民の罰は尤もおそるべし」という言葉に集約されるような、“統べる”ということの難しさが通底していたような印象。ラストシーンを読んで、理由はどうあれ、有岡城主の荒木摂津守村重が、官兵衛を殺さずに地下の土牢に閉じ込めておいてよかった…と思えたのがせめても。謀略とか信仰とか愛情とか忠誠とか、人の心は本当に掴みどころがなく、けれど時代を予期せぬ方向へと動かすようなパワーをもった、不思議なエネルギーだなぁ…と思いました。
米澤さんは本作で、何度目かの直木賞候補にノミネートされているようですね! 来週末の発表を楽しみに見守ります。
〔※第166回直木賞、米澤さんが本作で受賞されましたぁ~♪ おめでとうございます!!〕
【年越し読書】 そして、年越し読書は北村薫さんの『中野のお父さん』でした。息子はアイザック・アシモフの『鋼鉄都市』と『われはロボット』を一気読みしていましたし、友人は『三体』で年越しと言っていました。年末年始は読書に最適ですね~♪
さらに明後日は、『特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来』の発売予定日。企業の知財部ウォッチングを兼ねて拝読するつもり^^。今年は何冊くらい読めるかな~…^^?
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