同日の商標登録出願
日本では、特許庁への(一定の条件を満たした)早い者勝ちの出願で、登録商標を得ることができます。では、同じ日に似たような出願があった場合はどうなるか? まずは特許庁長官から、同日に出願した二者で協議を行なうように指令が出ます。では、話し合いがまとまらなければどうなるか?
商標法第8条第5項には、以下の記載があります。
「第二項の協議が成立せず、又は前項の規定により指定した期間内に同項の規定による届出がないときは、特許庁長官が行う公正な方法によるくじにより定めた一の商標登録出願人のみが商標登録を受けることができる。」
そして、特許庁のTwitterによると、同一又は類似の同日の商標登録出願で、協議不成立により、年に5~10件のくじ引きが行われるとのこと!
最初にこの条文を読んだ時には、なんだか可笑しくて可笑しくて、ジャンケンとかあみだくじとか丁か半かとか、いろんな決め方を想像して、どれが一番納得感があるか考えてしまいました(笑)。実際は、商店街の福引のガラガラくじを、特許庁の職員の方が回して決めるようです。
ただ、似たような出願が同日に行われるなんて、よほどタイムリーな流行語でもない限り有り得ないだろう…と高をくくっていたのです。。。でも、年に5~10件ものくじ引きが行われるってことは、協議になるものはもう少し多く、15/365くらいは同日出願があるってこと…??と、信じられずにいました。
ところが、先日、、、、J-Plat Patウォッチングでフラフラしていたら、、、
見つけちゃいました! 同日出願!!
商願2020-64534と、商願2020-70057が、おんなじ日に出願されているじゃないですか??!!
標章は、さもありなん…というような今のご時世ならではのもの。経過情報によると、協議不成立だった模様。果たして、くじ引きによりどちらに軍配が上がるのか、他人事ながら興味津々^^;。茶化してはいけませんが、先使用主義の国と違い、もし片方が細々と十年前から使っていたとしても、出願が同日ならばくじ引きになってしまうということですね。くじで勝ち取った商標は、殊の外、大切に大切に使いたくなる気がします^^。
【地上権】 特許権における専用実施権は、無限のアイディア空間における、ある種“地上権”に喩えられることがありますが、“言葉”という有限のものの中から選択される“商標”というのも、私にはなんだか“地上権”のように思えます。ある場所を一定期間占有したいという主張が二者でバッティングした時、くじで平和的に決められるというのは、とても微笑ましい。地球という人類生物共有の財産である有限の土地を、いくつかの国が領土として分割して占有するのも、くじで決められたらいいのにな…と、馬鹿らしい妄想をする昨今の私です(T T)。
| 固定リンク
「学問・資格」カテゴリの記事
- 生成系AIの著作権問題(2023.04.27)
- 本格VTRと、まさか?!の後ろ姿(2023.04.13)
- 恩師 最終講義(2023.03.15)
- 他人の氏名等を含む商標の商標登録について(2023.03.03)
コメント