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2022年5月14日 (土)

『いちばんやさしい 免疫学』

20220508_8  看護や介護の仕事を目指す人向けと思われる表題の書籍をいただいたので、早速拝読。重要用語を覚えるための赤シート付きなので、「ひぇ~、こんなにたくさんの用語を覚えないといけないの?!」と、久々に受験生の心持ちになり、最初はおののいてしまいました(笑)。
 ただ、新型インフルエンザウイルスだの、新型コロナウイルスだのに晒され続けている昨今、免疫の仕組みに関心を持つ一般人はかなり増えていることでしょうし、近年の健康志向に鑑みれば、普通の人がこうした本を読む可能性も高いかもしれません。また、アニメ「はたらく細胞!!」や「はたらく細胞BLACK」を愉しく観ていた私としては、あの作品をさらにリアルに体感するための手掛かりとしても、読むことができました^^♪。「はたらく細胞!!」ではなんといっても、免疫を司る“白血球さん(好中球)”と“キラーT細胞さん(メモリーT細胞)”が大活躍するわけですが、本書を読むと、血液成分のたった0.1%(p.19;常温常圧下での体積比?)に過ぎない白血球のうちの、さらに60%しかない好中球の貴重さを痛感しますし、T細胞に至っては血液中たった0.021%という存在でしかないことが最初に分かり、なんだか、自衛隊員の方々に対するのと似たような感情が湧いてきました^^;;。(自衛隊員は日本の人口の約0.12%だから、まさに白血球は体内の自衛隊員のよう!)
 “免疫”とは、端的に言えば「自己と非自己を区別して、非自己を排除する仕組み」なわけですが、非自己にもイロイロあって、そこらじゅうにウヨウヨしているホコリや花粉や菌やウイルスは当然として、お腹に宿った赤ちゃんも半分は非自己だし、他者から臓器移植を受ければそれも非自己と認識されてしまうし、免疫の働き具合によっては、自分の細胞すら非自己と誤認されてしまうというから厄介極まりない。一卵性双生児の夫はその点、臓器移植に関しては「クローンがいるから」といつも心強く言っています(苦笑)。そもそもヒトは、非自己である空気から酸素を取り入れ、非自己である食物から栄養素を取り入れ、非自己である薬品に助けられて病気を治しているんだから、“自己”と“非自己”って単に循環してるだけは?と思わなくもありません^^;;;。
 昔、ジョン・トラボルタの「プラスチックの中の青春」という免疫不全症の青年が主人公の映画を観ましたが、最近は、謎の小児肝炎が流行っているとか、帯状疱疹が増えているとか、不可解な報道も耳にします。“衛生仮説”(p.184)によれば、「衛生状態が良すぎる先進国では、ウイルスや結核菌と接触する機会が少なく、Th1が増えないまま育つことになり、相対的にTh2が優位になってしまう」のだとか。Th1とTh2はいずれもヘルパーT細胞という、獲得免疫に関わる細胞で、Th1は非自己を排除する役割、Th2は排除のための獲得免疫を発動する役割を持つとのこと。この2つのバランスが大事ってことなのでしょう。暮らす環境等によって、ナイーブT細胞はTh1に分化したりTh2に分化したりするらしく、体内環境は様々な要因で変化するのが分かります。「個々の細胞が適切なバランスで情報交換を行って適切に対処する」という当たり前のことが、とても大切なのを痛感します。
 “健全に命を全うする”という観点で、現今の世界情勢と引き比べると、自然界でも、自己と非自己が平和に共存すべく双方が工夫している場合もあれば、徹底抗戦して排除せざるをえない場面もあり、身体の中の小宇宙の平和を願うばかり(苦笑)。

 不思議なもので、うちの父は若い頃、とても身体が弱く病気がちだったのに、母と結婚してしばらくしたら、ずいぶん健康になったとのこと。うちの夫も同じく、結婚したばかりの頃は、いつも頭痛や肩こりが酷くて、お酒にも滅法弱かったのに、最近はずいぶん体質が変わり健康になりました(ふくよかにもなったけど…^^;;)。生活習慣や環境や気の持ちようなど、いろんなことが影響しているのでしょうけれど、“自己”ですら時々刻々と変化して、いろんな相互作用に反応しながら流動しているんですよね。遺伝子組み換え食品が忌避された時代からすると信じられませんが、今や薬品も遺伝子レベルで研究・製造されているようで、“情報交換”の次元も様々であるようです。
 とりあえず私自身の健康のためには、日々身体の声をよく聴いて、腸内フローラのバランスを整えるのが一番かな~。。。^^;;;。
 

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