「PLAN 75」
先週、公開早々に「PLAN 75」を鑑賞しました。
凄惨な出だしに目の覚める思いをした後は、淡々と物語が進みます。決して、明るい気持ちにはなれません(以下、ネタバレ注意)。
満75歳を迎えたら、自らの生死を選択できるようになった架空の世界。メインキャストは5人ほどで、誰の視点で観るかで、印象はだいぶ変わるかもしれません。2度の結婚の後、夫に先立たれ、子どもも身寄りもない75歳超のミチ、PLAN75を運営する団体職員のヒロム、ヒロムの父と仲たがいしたまま孤独に年を取ったヒロムの叔父の岡部、PLAN75でミチの担当になり電話応対を続けた瑤子、フィリピンに夫と病気の娘を残し日本に出稼ぎに来て老人ホームに勤めていたけれど、より給料のよいPLAN75の身仕舞の最終工程で働くマリア。
早川監督は、PLAN75のような制度が出来ないことを願って本作を作ったのかもしれません。が、数々の病院や老人ホームやリハビリテーションセンター、ショートステイ等を3年ほど見続けた私としては、本作のミチや岡部のように、杖もなしに歩け、自分で食べることも、意思決定も出来る段階では、まだ老人とは思えず、もはや生死の選択すら出来ずにベッドの上で過ごしている多くの老人にこそ、もっと目を向ける必要があると感じてしまいました(まぁ、自由に動ける人達がPLAN75の利用を決意することこそが衝撃的なのでしょうが…)。
映画館には、ミチや岡部くらいの年かさのお年寄りがたくさん観に来ていましたが、こうした人たちにはかなり酷な映画なのでは…と思ってしまいます。ミチの友人達は、孫の世話をしつつ子供らに気を遣いながら小さくなって暮らしていたり、職場で亡くなったり、自宅のダイニングテーブルに突っ伏したまま朽ち始めるまで発見してもらえなかったりと、気の毒な末路がアレコレ描写されていたからです。自分はどこでどんな最期を迎えるんだろう…と想像すると、不安にもなります。
本作を観た私の最初の感想は、「“立つ鳥 後を濁さず”という人生の終え方は、ほぼ不可能だな」というもの(苦笑)。最も潔いと思えたしっかり者のミチですら、結局は生きることへの未練を断ち切れなかった。。。ずるずるズルズルといろんな柵(しがらみ)を抱えたまま、いろんな人のお世話になりながら、不本意な最期を迎えるのが大方の末路なのではなかろうか…。だからこそ、明るく温かい出逢いや関係性を大切に過ごしたい、と思えます。寂しくても生きることを選んだミチが幸せなのか、死を選んだものの甥とのひとときを過ごして看取ってもらった岡部が幸せなのか、誰にも分かりません。自分としては、どんなピリオドを打つにせよ、「ありがとう」と世界に感謝して土に還りたい。そんな思いで、映画館を後にしたのでした。
【メアド違い】 今朝、母から電話があり、「メールを送っているのに、どうしてもエラーが出てしまう」とのこと。送ろうとしている文面をFAXしてもらったら、私のメアドが間違っていました^^;;;。
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