メタバースと著作権
先週末聴講したWebinar「メタバースと著作権」。
目下、欧州ではデータ法案が模索され、国内でも「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」が検討され、個人的興味からはハイエクの『市場・知識・自由』を読んでみようかな~?と思っていた中、知財法の恩師や師匠のお話を、久々に聴いてみたいと思ったのでした。
講義のタイトルを見た瞬間、「スピルバーグ監督の“レディ・プレイヤー1”の著作権処理をトレースしてみるのが、実践的には手っとり早そう…」と思いました^^;。
メタバースは現在、工学的進展に伴って、知的財産法だけでなく、民法等々の一般法にも多大な検討課題をもたらす存在だと思います。その中で今回は、著作権法に絞り、さらに建築物や美術の著作物にフィーチャーして、メタバースの中の“風景(Panoramafreiheit)”の構築に限定して検討する、という模擬講義でした。
コロナ禍に、KDDIや渋谷区が協力して制作した“バーチャル渋谷”を素材に、とりあえずは国内法の範囲で検討するという取っ掛かりで、分かりやすく問題提起してくださいましたが、本来メタバースに国境はないことを考えると、「厄介な世界だなぁ~…」という印象。
国内に限れば、著作権法の46条(公開の美術の著作物等の利用)の権利制限規定と、30条の2(付随対象著作物の利用)の写り込み規定により、風景的なもの・軽微で正当な範囲内のものの利用は原則自由、と言えそうです(それでも、著作者人格権の中の同一性保持権やら、ショーウィンドウの中やら、屋内的屋外のような部分の判断は微妙…)。また、リアルの世界ですら、応用美術の著作物性等で判断が分かれるところ、世界をまるごと仮想空間に再現して、全世界からのアクセスも可能になり得るメタバースで、法的解釈が混淆するだろうことは想像に難くなくーーー^^;;;。政府は、「簡素で一元的な権利処理を可能とする措置」を検討するとのことですが、国外の権利者も、補償金制度のようなものを認めてくれるんだろうか…??
久々に、頭がグルグルする感覚で聴講を終え、とりあえず自身は、商標法の視点で当分はメタバースを眺めてみよう…と思いました。
それにつけても、恩師や師匠らが立ち上げられたリカレント教育目的のカリキュラムの数々は、あいかわらずエキサイティングで面白いなぁ~と、大変ながらも充実した年月を懐かしく思い出しました。多様性重視で、年齢も性別も国籍もバックグラウンドも限定せず、様々な人が集まることでの相乗効果を期待しながらの運営は、大学という場に最もふさわしい形でありながらも、大変なことだと拝察します。今年の学生さんのダイバーシティぶりもスゴいらしく。。。今回のテーマのメタバースはまさに、ダイバーシティ&インクルージョンが基本コンセプトですが、「当該LL.M.は先を行ってるな~^^♪」と感じました(笑)。テレビ局の権利処理部隊の方もいらっしゃるようで、個人的にはリアルなお仕事状況を伺ってみたいなぁ~と思ったのでした^0^。リモート聴講を可能にしてくださり、ありがとうございました!
【Slack料金改定】大学院の仲間とは、SlackとLINEで情報交換していましたが、このほどSlackが料金改定し、フリープランについては過去の履歴参照が90日間に限られるようになるのだとか。当時のやりとりに遡れなくなるのは、ちょっと寂しい…^^;。
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