“統一”と聴くと、目下の日本では複雑な心境になりますが、欧州の“統一”には、独特の期待感を抱きます。
欧州連合(EU)、欧州特許条約(EPC)、欧州特許庁(EPO)等、歴史的文化的隔たりを超えた連帯には、世界からも熱い視線が注がれています。
BREXITショックはあったものの、いまだにトライ&エラーを繰り返しながら模索する様には、頭が下がります。
「欧州統一特許裁判所(UPC)」も、そんな構想のひとつと言えるのでしょう。
過日、その現況を解説してくれるというウェビナーを聴講。以下、自分用メモ。
(うろ覚えで資料も見ずに書いたので、誤りがありましたらご容赦を!)
・CIPA(The Chartered Institute of Patent Attorney…ukドメイン?!)主宰
※今後6ヶ月以内に考えるべきこと
・ドイツ批准3ヶ月後:単一特許に関してはUPCが専属管轄権をもつ
・サンライズ期間はおそらく、発効前3ヶ月位から開始となる(2023/1/1~)
・17ヵ国批准、最大で24ヵ国批准
・従来のEP、単一特許UP、国内特許NPの3種を選ぶ
・移行期間は7~14年
・中央部(ロンドン?、ミュンヘン、パリ)、地域部、地方支部
・機械分野はミュンヘン、その他分野がパリ
・ダブルトラックよりは、地方が侵害も無効も扱う可能性が高い
・3名の判事の合議体
・オプトアウトはサンライズ期間内+移行期間(但し、UPCで提訴されたらオプトアウト不可:UPCロックイン)
【メリット】手続迅速、プロパテント、英語使用可、1つの裁判で批准国全部の侵害認定
【デメリット】セントラルアタックがあり得る、不確実性がある、ES/UK/CH等はカバーされない
・IBMは、とりあえずはほぼほぼオプトアウトし、案件によってオプトバックインする
・MSDは、タイプ/財務的/時間的な条件によって判断。UPC発効直後はゆっくりめにドライブ
・共有特許のオプトアウトには全員の合意が必要(権利者変移の要確認)
・UPCの進歩性判断基準などは未だ不明
・正確なサンライズ期間の開始は、UPCのホームページで確認(2022年10月か11月か…)
〔後日のMewburn EllisのNaylor講師の講演から追加情報〕
・法的根拠:EU Law(EU規則)、PPA(仮申請のプロトコル)、UPCA(UPC協定)
・EPC締約国は38ヵ国、UPC参加国はEU加盟国であれば参加できるが、批准国・不批准国(ES,PL,HR)がある
・侵害訴訟はNCへ、取消訴訟はUPCへ、ということも可能
・オプトアウトはサンライズ期間(3ヶ月)後も7~14年間可能
・UPCA発効後は、EPOの特許許可をどこで有効化するかを、UP含めて選択することになる
・参加国が今後増えても、有効化した時点でのRegionのみで権利は有効
・GDPは、UPC参加国だけで60~65%になる
・UPC発効前後で、国数が少ない場合は、有効化費用は似たようなものだが、維持年金はUP利用の方がやや割高
・UPC発効前後で、国数が多い場合は、有効化費用はUP利用の方が安く、維持年金は似たようなものか割安
・Validation Cost Estimator
・移行期間中なら、オプトアウトの撤回も可能(1回ずつ)
・UPCで敗訴すると高いコストリスクがある
・UPCでは欧州弁理士が代理可能
・オプトアウトには各種書誌情報やSPC情報と、Declarationが必須!
“統一”されると、権利行使できる範囲とできない範囲がシビアに表裏になる…というのは、よくよく考えないと!
【エリザベス女王】6月にプラチナジュピリーを祝ったばかりのエリザベス女王の訃報! Peacefulな最期だったとのこと、天寿全う。ご冥福をお祈りします。
【発効延期】その後、サンライズ期間の開始は2023/3/1へ、UPC協定発効は2023/6/1へ、と、2ヶ月延期になった由。
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