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2022年9月12日 (月)

「マダム・フローレンス 夢見るふたり」

20220905_3  「ミス・シェパードをお手本に」でマギー・スミスの名演を観た直後、あるサイトで、悲運に見舞われたピアニストの実話を描いたもう一つの映画「マダム・フローレンス」(Florence Foster Jenkins)が対照されていたので、試みに観てみることに。こちらは、メリル・ストリープ!(以下、ネタバレ注意)

 舞台は20世紀初頭のニューヨークですが、作品はイギリス・フランス合作の音楽コメディ&伝記映画(私にはまったくコメディには思えませんでしたが)。幼い頃はピアノの才能に溢れ、音楽家の道を進みたいと思うも、父親の反対に遭い、また、医師と駆け落ちしたものの梅毒をうつされ離婚、父母の莫大な遺産を相続後、ベイフィールドという舞台俳優と事実婚して、NYの音楽界を支える活動をするようになるマダム・フローレンス。
 ある日、素晴らしいオペラを聴いた後、歌のレッスンを始め、やがて自らカーネギーホールで歌いたいと思うようになるのですがーーー。
 過日観たミス・シェパードとは天と地ほどの違いで、それはまぁ、実家が裕福だったか否かに如実に左右されているわけですが、梅毒に侵されて身体のあちこちを病み、ピアノを諦め、普通の結婚生活も送れなくなるという点では、やはり悲運のピアニスト。
 不思議だったのは、ピアノの名手でも、自分がオンチか否かがわからないのだろうか??という点。ピアノの演奏で鍛えられた音感で、自らの歌が録音されたレコードを聴けば、当然音程のズレは分かりそうな気がするのですが。。。?? まぁ、多少の音程のハズレなど気にせず、堂々と楽し気に唄う人は輝いてるな、と思います^0^♪。
 フローレンスは結局、音程のズレが直らないままカーネギーホールで3000人もの聴衆を前に唄うのですが、NY Timesの批評家からはさんざんに書かれ、失意のどん底に。。。とはいえ、夢だった舞台で、愛する夫に見守られながら歌唱をし遂げた彼女は、満たされた表情で床に就きます。役作りに臨んだメリル・ストリープは彼女のことを、“世界の美しくて素晴らしい部分だけを見ることができる人”と言ったのだとか。確かに、自分自身が世界や自分や他人のことを、どんな風に受け止めるかで、物事はまったく違った様相を呈しますよね。

 ミス・シェパードとマダム・フローレンスを観てつくづく、人生は人それぞれ、と思います。人を羨んだり自分を蔑んだりという気持ちは、何も生まない。自分が信じる生き方を貫いて、一心不乱に前進するのが一番、ですね!

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