「ある男」
勤労感謝の日、我が家の屋台骨を支えてくれている夫のリクエストにお応えして、映画「ある男」を観に行きました。
私が読んだことのある平野啓一郎さんの本は、『日蝕』と『マチネの終わりに』だけ。一方の夫は、平野さんに何かとシンパシーを感じるらしく、数冊読んでいる模様でした。で、『ある男』は双方とも未読だったため、何の予備知識もなく、初見で映画鑑賞することにーーー。
(以下、ネタバレ注意)
キャストの皆さんの演技力と、全体構成や演出の巧妙さで、それはそれは見応えのある面白い作品でした!!!
夫に付き合って…という鑑賞初動で失礼ながら、予想外にのめり込んで観ました!!
世は、ハンコを押すだけの法務大臣問題で揺れていた中、人が生まれながらに背負うものや、人生を通して得ていくものや、家族や幸せや、いろんなことについて考えながら、ミステリアスな展開の先が気になって、あっという間の一幕でした。
原作を読んでいないので、ラストがどうなっていたのかはわかりません。ただ、『マチネ…』の時と同様、個人的にはラストにだけ納得いきませんでした^^;;。最後のくだりだけが、なんとなく下世話なものに感じられて、「あれは要らなかったんじゃ…??」と夫に感想を漏らしたら、夫は「あれはあれで必要だったんじゃない?」とのこと。
細かい所にツッコみ始めると、それはそれでイロイロ気にはなるのですが、“悠人くん”の味が最高で、彼の健気な存在だけですべてが許せる気がしてしまいました(笑)。
当初、「これは臓器移植をめぐるミステリーか?!」なんて思った私の予想は大ハズレで、テーマはもっと重く苦く辛いものでした。たとえどんな境遇や過去を持とうとも、自身の力で周囲の色眼鏡を塗り変えていければいいのでしょうが、それを許さないかのような冷たい仕打ちが世の中に溢れているのも事実。曇りのない目で“今”のその人を見たいし、自分もそう見て欲しいし、そう見られても恥ずかしくないように“今”を生きたいーーー。
夫との考え方の違いは、本作をめぐる感想の応酬で再び明らかになりましたが、考え方の違う人ともきちんと意見交換して、お互いの考えを尊重するのもまた、色眼鏡をクリアにしていく貴重な営みです^^;;。
面白い作品に出逢わせてくれた夫と、スタッフ&キャストの皆さんに感謝と拍手~!!
(友人は、本作の原作本を読んだとのことで、次回のランチ会では是非、本と映画の比較談義も出来たらと、楽しみにしています~♪ そういえば、『ザリガニの…』も映画化されましたね。観に行こうかどうしようか迷っています~)
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