『基礎からわかるディープラーニング』
だいぶ前に読み始めた表題書籍ですが、先週頭にようやく読み終えました。
わかりやすい日常的な例(ローンの支払い能力と申請可否等)を用いて、ごくごく初歩的でシンプルな線形的な事例で、ニューラルネットワークの仕組みを解説してくれています。
…が、そんな初歩的な内容さえ、なかなかの手強さ!
輪をかけて、現実の問題の多くは、線形ではないし、隠れ層を多数要するし、誤差面は複雑な山や谷を有する多次元的な地形図になっているはずなので、正直、理解できたとは到底言えません。
バックプロパゲーションアルゴリズムと最急降下法アルゴリズムという2つのアルゴリズムを用いて、ディープネットワークの学習を推進できる、というのはザックリと理解しました。そして、要するに、入力に対してどんな写像を行うと、どんな出力が得られるか、を考えるのがニューラルネットワークの設計だということも把握しました。が、初期値の設定や、重みづけ、隠れ層を何層にするか、学習に用いるアルゴリズムやニューロンの数、どんな学習データセットを用いるかなど、設計者の手心がことごとく出力に影響しそうなことに頭を抱えました。
個人的に、本書を読み始めた動機は、ディープラーニングによって学習を繰り返したニューラルネットワークの、どこに、“創作性”が宿るか?を知りたかったからなのですが、少なくとも、出力を導くためには、ネットワークを設計した人、学習させた人、学習に用いたデータの創作者の寄与が必須なのは確か(苦笑)。
ただ、これを人間の著作物の“創作性”に敷衍すると、何やらおかしなことになってしまいます。人間の場合、例えば何かの絵を描いた人がいたら、その人が著作者になり著作権を有することになりますが、上記との対比で言えば、その人を生んだ両親、遍くその人に刺激を与えた人や、触れたモノの創作者の寄与が、すべて出力に必須ということになってしまうからです^^;;。
そういう意味では、AIに著作権を、という話もまんざら空論にも思えないわけですが…。やはりそこに“心”とか“意思”とか“感性”とか、未だよく説明できない何かが絡んでいないと、どうも納得し難い。。。
画像自動生成AIはともかく、機械翻訳や顔認証システムなど、すでに日常的に活用されているディープラーニングのモデルに関し、その安全性を保障するソフトウェアを開発したというRobust Intelligenceというベンチャー企業があるようですが、AI版の「邪悪になるな」のようにも見えーーー。AIと人間を対比させて、その“創作性”を考えると、何やら人間の“創作性”とやらが、ずいぶんとあやふやなものに思えてきます。この検討の旅は、まだまだ続きそう…(苦笑)。
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