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2022年12月 2日 (金)

著作権 類似性/依拠性

 巷では、(TV CMも打ち始めた)SHEINなるファッションブランドのパクリ疑惑取り沙汰されていますね^^;;。
 パクリとは違いますが、少し前、お世話になっている仕事先の先生と、侵害性談義。詳しくは書けませんが、かねてよりの問題意識を彷彿とさせられたので自分用にメモ。
 検討の概要は以下。
   20221122_9
 Aという、商標権・著作権のある描画があり、
 Bという、後発の他人の描画がある。
 Bの一部に、通常の目視でAと類似すると分かる描画があり、Aに依拠しているのは明らかであるが、AとBの全体を対比すればまったく非類似と考えられる。

 Bの中にあるAと類似の描画は、商標的使用態様とは言えず、商標権は非侵害。では、著作権については??
 大学院時代の恩師が、「このAがドラえもんの顔だった場合、BはAの著作権を侵害するか?」という問題を出されていたのを思い出します。
 著作権侵害に係る裁判例はたくさんありますが、①利用行為があり、②依拠性があり、③類似性があれば、とりあえず侵害が疑われることになります。ただ、この中でも特に③の類似性をめぐる議論は難しく、“創作的表現”を(a)一元論で見るか(創作的表現の共通性があれば類似性が肯定される)、(b)全体比較論で見るか(創作的表現の共通性があっても全体として色褪せていれば類似性が否定される)で判断は分かれるし、“創作的表現”の判断手法としても(i)二段階テストと(ii)濾過テストで判断順序が変わり、判断も変わる可能性があるのです。
 法律の専門家の間でも判断が分かれる問題を、一般的な創作者がどう考えるか、どんな説明なら納得感を得られるか、も難しい。
(個人的には、モラルと、デザイナーさんのプライドの問題だと感じますが、日本にもこんな時代が…^^;;)
 幸い、仕事先の先生と検討したケースでは、その他の経緯や関係者間の関係性など追加条件が多く、ビジネス上、取るべき対応も比較的明らかでしたが、上記例くらい抽象度が高まると、おいそれとは「非類似だからOK~」とは答えられません。
 自分がビジネスの当事者なら、とにかく石橋は叩いて渡りますが、世の中意外に「OKOK」と楽観視する人も多いようで、自身の小心者ぶりを痛感させられます^^;;;。(クリエーター寄りの仕事をしていた頃は、法務部の慎重さに辟易していたものですが、、、^^;;)

 

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