『楽園のカンヴァス』
先週の雨の日曜日、原田マハさんの『楽園のカンヴァス』を読了。
アンリ・ルソーの「夢」と、パブロ・ピカソの青の時代をめぐるミステリーで、すごく面白かった♪
油絵は、上から塗り重ねられることから、赤外線やX線で解析すると、意外なものが見えて来ることはよくあるようです。
とはいえ、肝心なのはやはり、目に見える作品から立ち顕れる作家の情熱。
ルソー研究家のふたりが、ルソーの作品と思しき絵画を前に、一冊の書物だけを頼りにその真贋の鑑定を競うという物語なのですが、「作品」のひとつひとつを、まるで我が友のように愛おしく大切に思う、ふたりの絵画への向き合い方が素敵でした。
常々、本は友達、と感じていますが、そういう意味で、何かしらの創作物というのはいつも、心の友になりうる要素を備えていますね。
これまで、アンリ・ルソーの作品を思い入れをもって観ることはなかった気がしますが、今度どこかで出逢ったら、この時代のパリの雰囲気を思い描きながら、ルソーの一途で几帳面で素朴な人柄を想像したいと思いました。
一枚の絵も、その後ろに横たわる人間の物語を感じながら観ると、ずいぶんと違った様相を見せるものだなぁ…と、美術館に行くのが楽しみになりました。とりあえず今度、東京国立近代美術館か世田谷美術館かポーラ美術館に行ってみよう♪
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