『いい子症候群の若者たち』
GW半ば、リビングに転がっていた本書。
どうやら息子が興味本位で買って読んだようです。
カバーの帯部分には以下の記載が…。
・子どもが理解できない親
・学生の気持ちがわからない先生
・部下とのコミュニケーションに困っている上司
一体全体、どの煽り文に惹かれて手にしたのか…??
そんな疑問が頭をもたげ、つい読み始めたら止まらなくなって一気読み(苦笑)。
ほとんどは、近年の若者心理について書かれていたのですが、私としては、最後の方の、若者に向けて書かれた箇所に惹かれました。
バブル崩壊後の不遇な時代に生まれ、社会保障では過分な負担を負い、少子化で競争は緩和されているとはいえ、大学全入で学歴での差別化も難しく、SNSでの情報氾濫や過度な“叩き”にビクビクする現代っ子は、おおむね横並び気質で指示待ち人間になりがちなのだとか。
そんな若者たちに対し、著者が問うていた「あなたは何のために勉強するか」という質問。
市川伸一さんという方の『現代心理学入門3』という本からの抜粋で、下記のような動機を挙げておられました。
①充実志向:「新しいことを学ぶのは楽しいから」
②関係志向:「皆がしているから」
③訓練志向:「頭の訓練になるから」
④自尊志向:「人に負けたくない」
⑤実用志向:「仕事に活かすため」
⑥報酬志向:「学歴や出世のため」
そして、若者には是非、②と⑥以外の動機で学んで欲しい…と書かれていました。
うちの息子は、①と③以外の動機は持ち合わせていないように見えますが、それって渡世の上では不利になりがちな気もしなくもなく…(GPAはズタボロです…^^;;;)。
ただ、最近の若者を保守的にしている原因はむしろ、大人の方にある、という著者の主張に痛く共感しました。本書の唯一の提言である「大人のあなたがやるべきだ。まずはあなたが挑戦するべきだ。」という言葉に、襟を正しました。
著者は、モチベーション&イノベーション研究者とのことですが、人を鼓舞するのもお上手なようですーーー^0^。
本書を読んでいたらふと、過日報道された「ハクトR」の月着陸失敗のニュースを思い出しました。あの報道には様々な感慨が寄せられたと思いますが、中には、「そんな無謀な挑戦して…」とか、「経済的に大丈夫か…」とか、「もっと安泰な暮らしも出来たろうに…」とか、ネガティヴなものもあったかもしれません。まぁ何を思うのも自由だけれど、挑戦する人を揶揄する暇があったら、自分が挑戦しろや、というのが本書の提言とも言えますね^^。私は偶然手に取って読んでみたわけですが、いい刺激をいただきました♪
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